光景
盆栽
洗濯機
雨が降っている。道には傘をさした人が少々。たまに車が通り水しぶきをあげる。
少年は玄関に座っている。くつを履いて外へ出る。扉を開けた瞬間、水たまりを踏んだ車のしぶきが目に映る。幸い、門があったので少年にはかからなかった。傘をさして住宅地を歩く。コンビニへ漫画を買いにでかけたが、たまの散歩に心地のよさを覚えていた。いつもは自転車で移動するため、歩いて見る風景というのは新鮮なのだろう。
道中、小さな公園の前を通った。雨が降っているというのに人影があった。どうやら小学生達がいるようだ。この公園には正方形の木製のベンチがあり、そこには雨宿りにはうってつけの屋根がついている。そこで彼らは賑やかに遊んでいたのだ。少年はそんな彼らを横目にコンビニへと向かった。
少年は無事にコンビニで目的のものを買えた。早く買った漫画を読みたくてウキウキしていた。さきほどの公園が目に入る。まだ子供たちは遊んでいるようだ。何の気のなしに少年は彼らへ視線を向けた。どうやら携帯ゲーム機で遊んでいたようだ。興奮のあまり携帯ゲーム機を振り回している子がいた。周りの子は面白がっている。一人は制止しているように見える。暴れている子が制止しようとする子を押し倒した。やりすぎではないか。少年は眉をひそめたが、倒された子が笑っているのを見て力が抜けた。つい見入ってしまったと少年は家へと歩みを進める。
家で漫画を読んでいた少年は、いじめられているキャラクターを見てさっきの公園の光景が頭に浮かんだ。倒された子は自分の境遇に満足しているのだろうか。実はいじめられていたのではないだろうか。それに反抗できるチカラがなく、笑ってごまかしていたのではないだろうか。そうであるならば。自分は見過ごしてよかったのだろうか。ページをめくる手が止まる。洗濯機が洗濯終了の知らせを鳴らす。少年はかぶりを振り、漫画を読み進めた。
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