メイドインフォード

DarkPython<bl>

第1話 要望

 八月上旬、近松の前に現れたのは、建築士の沖田さんが改装工事の依頼で訪れた。


「いらっしゃいませ、お暑い中、ご足労ありがとうございます」


「いえいえ、しかし凄いですね、ハイテクって感じで」


「安全のために欠かせないですから」


 オレは挨拶を済ませ、クレーム解消するための問題点である寝室の狭さに目をつけて、沖田さんに依頼し、快く引き受けてくれた。

 具体的には小さな宿でオレは床に就き、溜まった疲れを少しでも回復しようとした。メイドも用務を済ませ横になる。ほんのり甘い香りに包まれていき、心が安らいでいく。

 眠りに入っていると、暗闇の中で突如、つるっとした舌触りとしょっぱさを襲う。口の中の異物が恐怖でしかなかった。

 すると、小雨堂の細々とした声が聞こえてきた。

 そこでオレは、やっと理解し難い現実を受け止めた。

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