第5話- 実話
これは実話です。
数年前のある夏の午後、娘と2人ちょっと離れた町に住む友達を訪ね、森の中を抜ける道に車を走らせていました。
いくつ目かのカーブに差し掛かった時、助手席側の窓に何かが見えた。
”?” カーブを抜ける時ミラーで確認しようとしたが、何も見あたらなかった。
1000分の1秒ぐらいで様々なことを考えた、なんだあれ、あの子に聞いて肯定されたらどうしよう、エトセトラ、エトセトラ。
約2秒後、助手席でじっと前を見ている娘に問いかけた。
”ねえ、あんたも、、見た?”
私の問いに、それまで固まったように前を見つめていた娘が堰を切ったように話し出した。
”ママも見たよね? 何,アレ? ミラーで探してたよね!、 2メートルぐらいあって、茶色で少し透き通ってて、人みたいな形してて、、、。”
矢継ぎ早な彼女の言葉にさっき見たものが どんどん具現化されていく。
鳥肌が立つって こんな感じ、 血の気が引くって こうなるんだな。
一時の静寂。
突然、娘が語気を強めて、 ”ママ! 信号 止まらないで!”
前方の信号は 赤、 とても減速する気になれずアクセルを踏む。
ギリギリ、 青に変わった交差点を走り抜けた。
その後は何もなく、その日の夜の帰路は、さすがに怖くて少し遠回りになるが、アウトバーンを使って帰った。
その数日後、例の道路が1週間ほど、通行止めになっていたが、まさか、アレのせいではないだろうが、、、何故かは知らない。
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