第433話 帰ろう
「あはっ!」
クズ勇者とアバズレ聖女の首が! 恐怖と絶望に染まった首が地面に転がる!!
切断面から漆黒の炎が燃えがって頭を失った2人の身体を包み込む!
「あはっはっはっ!!」
一瞬で身体は塵すら残さずに燃え尽きちゃった!
「お疲れ様」
「む、邪神」
「でも良かったの? この2人をこんなにもあっさりと殺しちゃって」
「ん? 何を言っている?
コイツらはまだ、死んでない」
バカ邪神はさておき……
「ふふっ! クビだけになるのは、どんな気分?」
「「──」」
「ふむ」
口はぱくぱく動いてるけど、声帯が潰れてるから流石に喋る事は無理か。
そもそも、それ以前に私が何を言ってるのかすら認識できないだろうけど……これだけは言っておいてやろう!
「安心しろ。
お前達は、すぐには死なない」
身体の方は燃え尽きたけど、首の方は切断面だけを燃やして止血したおかげで血は一滴たりとも出てないし。
何よりこの私自らすぐに死んじゃわないように保護魔法をかけてやってるからな!
まぁ、死を引き伸ばしてるだけだから緩やかに死に至るんだけど、普通の人間でも10分ほどなら首だけでも意識を保てる。
そこに思考加速でクズ勇者とアバズレ聖女の意識を100万倍にまで加速させてやった!
パチン!
机を造ってっと!
ふふん! 私は優しいから、2人の首を仲良く並べておいてやる。
「ふふっ」
10分×100万でクズ勇者とアバズレ聖女が本当に死に至るまでの体感時間は約19年!!
首を切断された痛みを! 切断面を焼き焦がされた激痛を!
そしてじわじわとゆっくり自分が死にゆく恐怖を思う存分に味わうがいいっ!!
「うわぁ……結構、えぐい事をやってるね」
ふふん! なんとでも言うがいい。
2人の意識が完全に失われて死に至った瞬間、
「さてと……シルヴィア」
「はい、レフィーお嬢様」
「疲れた」
「ふふ、やはりレフィーお嬢様は甘えん坊さんですね」
別に甘えてるわけじゃないし。
ただ単に疲れたから……シルヴィアの匂いが安心するから抱き着いてるだけだもん。
「長かった」
「はい」
「これで、終わった」
「はい」
「これで、お父様達は……」
いや、お父様もお母様もお兄様も妹も、そしてきっとまだ赤ちゃんだった弟も。
私の家族や公爵家の使用人達、私を庇ってくれた友達。
みんな優しいから、こんな事で喜びはしないのかな?
私が世界中を巻き込んだ戦争を起こして。
大勢の人間共を殺し、神殺しまでしてクズ勇者共に復讐した事はきっと怒られるだろうなぁ〜。
それでも……
「みんなの恨みは晴らせた?」
「はい、きっと」
「そう、ならいい」
…………よし。
「ん、じゃあ……」
「ご主人様〜っ!!」
「むぐっ」
むぅ、ミーシャめ。
やっぱり破壊力抜群のいいものを持ってやがる!
「レフィー様、お疲れ様!」
「ミーシャ様! 陛下が!!」
「あっ! 私もお姉様をギュッとしますっ!!
ほら、フィルも!」
「ちょ! アリーっ!!」
アリーとフィルも抱きついてくるのは可愛いけど、ミーシャのおっぱいで顔が埋まって息が……!
「皆、お嬢様がお困りになるので程々に」
グラン! 止めてくれないのっ!?
「あぁっ〜! レフィー様っ! なんて尊いお姿っ!!」
「カッコよかったですねっ!」
「先程と、この光景を魂に刻まねば!」
「いや〜! 流石は我を統べる神っ!!」
「ゾクゾクしました!!」
「あの、皆さん? ちょっと落ち着きましょう! ね?」
「アス、煩いですよ。
黙ってなさい」
「イエス! マムっ!!」
「アス……」
「サタン様……っ!」
「まぁ、後でお仕置きが待っていると思いますが頑張ってくださいね」
「そ、そんなっ!?」
七魔公のも皆んなも……カオスだわ〜。
「ぷはっ〜、ミーシャ、離して」
「ど、どこにも行きませんか?」
「? どこにも行かないけど?」
どうしたんだろ?
「わかりました。
ずっと私達と一緒にいてくださいね!」
う〜ん、よくわからないけど……別にミーシャ達と離れる予定はないし。
とりあえず頷いておこう。
「ん」
っと、そうこうしてる間にクズ勇者とアバズレ聖女が死に至るまであと数十秒ってところかな?
「勇者ノアール、聖女リナ。
さようなら」
まっ! どうせ聞こえてないだろうけど!
────っ!!
「始まった」
空間に、世界に漆黒の穴が空いて、そこから伸びてきた幾多もの黒い手がクズ勇者とアバズレ聖女の首を。
その魂を掴んで暗黒へと引き摺り込み……
バチッ!!
悪夢の世界への穴が閉じられた。
さてと! クズ勇者とアバズレ聖女の最期も見届けて、これで名実ともにこの場にする事は全部終わった事だし!
「じゃあ、帰ろう」
いざ! 我が家へっ!!
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