第352話 全方位作戦!
ここ旧三ヶ国連合領こと、悪魔王国領グラウスがあるのは大陸西部の中でも西の方。
それに対してクズ勇者とアバズレ聖女の本拠地であるアルタイル王国があるのは大陸西部の中央部。
そして現在クズ勇者共がいる霊峰ルミエル。
アナスタシア教国はアルタイル王国の東側、大山脈と魔の大森林を挟んで大陸東部と隣り合う場所に位置する。
まぁ、それでも旧魔王は神々。
主神たるクソ女神アナスタシアによって生み出された人類を程よく間引くための装置。
あの女神を祀るアナスタシア教国だけは6年前の旧魔王との戦争では殆どなんの被害も出なかったけど。
「ふん」
女神アナスタシア様が祝福した聖なる地だから、とか言って人間共は騒いでたけど。
実際にはアイツを祀ってるアナスタシア教国と、アナスタシア教の総本山にして昔アイツだが降臨したとか言う伝説がある霊峰ルミエルには被害が出ないように旧魔王に命じただけの自作自演。
まぁ、自分を崇める宗教の総本山にして伝説まである地を守っただけじゃ無くて、それに連なってより一層崇められる事になるんだから一石二鳥。
やり口が卑劣って言うか、姑息と言うか、本当にムカつくヤツだわ。
「自己愛に塗れたクソ女神が」
っとまぁ、話が逸れたけど。
そんな訳で本来ならクズ勇者共がいる霊峰ルミエル、アナスタシア教国を目指して途中にあるアルタイル王国を滅ぼしつつ一直線に向かうの最短ルートになるのだよ邪神君。
『えっ? 今のって私に説明してたの?』
そっ! 理由は知らないし興味も無いけどこの1週間、何故かお前は殆どいなかったからな。
お前だけ今後私達がどう展開していくかを知らないのは仲間外れで可哀想だから優しい私が教えてやろう! 感謝するが良い!!
「っ! 貴様ァッ!
矮小な悪魔風情がアナスタシア様を愚弄するかっ!!
皆の者! ヤツを包囲し邪魔が入らぬ内に討ち滅ぼすのだっ!!」
「ふふっ」
話を戻すけど、最短ルートはさっき言った直線ルート。
だけど、この世界には転移魔法って言うとぉっても便利で兵法軍略の常識を覆す移動手段が存在する。
進軍中に転移魔法で左右から挟撃されたら……まぁ、なんの問題もないだろうけど、鬱陶しいし。
何より! もっと悪魔王国の圧倒的な力を見せつけて愚かで脆弱で醜い人間共に絶望を与えてやらないとならない。
「掛かれぇっ!!!」
じゃあ、どうするのか?
答えは簡単!
満遍なく、全方位に同時に侵攻して! 踏み潰して! 攻め滅ぼせば良い!!
『それって、二正面作戦どころじゃ無いね』
ふふん! いかにも! これは全方位作戦とでも呼ぶべきもだ!!
『この前、私との戦争は二正面作戦になるから避けるべきってシルヴィアと言ってたキミはどこに……
まぁでも、相手は私じゃなくて人間と天使達だから問題無いのか』
その通り! まぁ、それでも背後に転移で挟撃される可能性はあるけど……そこは1番の死地だ。
何せ全軍の指揮を取ってる悪魔王国軍元帥のグランを始め、私の七眷属と七魔公が目を光らせてるからな。
左右からの挟撃ならともかく。
背後に回られても軍の侵攻は止まらないし、なんの問題も無い。
むふふっ! そうとも知らずに、その死地に飛び込んでくる哀れなヤツらが可哀想だわ!!
「ぐぅっ……き、貴様ぁ……!」
「煩い」
「がぁっ!?」
さっきから、ぎゃあぎゃあと煩わしい。
せっかくビシッと整列する魔国軍の前でカッコよく決めたのに、いきなり転移で乱入してきやがって。
と言うか、頭を踏みつけられてるんだからこっちを見ようとしないでくれる?
羽虫の分際で私の邪魔をしただけじゃ無くて、私のスカートの中を覗こうとするとか。
何なの? 死ぬの?
変態クソヤロウが!
「グッぁぁガッァァ!!!」
「た、隊長……」
っと、危うく頭を踏み潰して殺しちゃうところだったわ。
危ない危ない、そんな事をしたら変態クソ天使の血で足が汚れちゃうからな。
しかし、私に襲い掛かって来ると同時に威厳を演出すために軽く放ってた私の魔王覇気に当てられてれて気絶したと思ってたけど、まだ意識があったか。
まぁ、別にどうでも良いけど。
「〝死ね〟」
はい、これで羽虫共の血で汚れる事なく乱入してきた無礼なヤツらの始末完了!
さてと、今日は
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