第331話 余興を用意した

「こほん……ご機嫌よう」



『『『『『『っ!!』』』』』』



「余興はどうだった?」



『このっ!!』



 あ〜あ、また無駄に攻撃しちゃって。

 全く、この顔だけのクズには学習能力が無いのかな?

 せっかく、綺麗に復元してやったのに神殿を破壊するなよな!


「無駄。

 お前達の攻撃は、何の意味も無い」


 事実、今クズ勇者共に見えてる私達はただの立体映像で実体は無いわけだし。

 熾天使共と違って依代ってわけでも無いから、マジでどんな攻撃をされようとも無意味なのだよ!


 むふふっ! 私に攻撃したいのなら、光魔法と幻覚魔法に加えて神眼の権能で映し出してるこの立体映像を逆探知して私の元まで転移して来い!!

 まぁ尤も、幾重にも張り巡らせたセキュリティを突破できるのならだけどなっ!



『パウロさん、リナ』


『残念ながら』


『複雑すぎて遡れない……』



 にゅはっはっはっ! はい、残念!

 どうやら逆探知はできなかったみたいだな。



『っ……この卑怯者が!

 姿を表せっ!!』


『そ、そうだ!

 我らの前に直接姿を表す事すら出来ぬ臆病者めが!!』


『何が魔王だ!』


『小娘風情が図に乗るで無いわっ!!』


『我ら各国の王と対等に対話がしたいのならば、直接この場に出向け!

 無礼者が!』



「卑怯者? 臆病者?」


 えっ? 何言っちゃってんのコイツら??

 各国の王と対話がしたい?


「誰がお前達と対話を望んだ?」


 小娘風情が図に乗るな、か。

 そのままそっくり返してやる。


「無能な王の分際で図に乗るな、人間」


 これは対等な立場での対話じゃ無い。

 これは、私による一方的な復讐アソビ



『なんだと!?』



 そんで、私を小娘呼ばわりしたお前。

 確か……アレス公国と同じく、アルタイル麾下の小国モンブ王国の王だったかな?

 この状況がちゃんと理解できてない様だから教えてやる。



『この小むすっ──ギャァァァァアッ!!』


『ヒッ、ヒィッ!』



 ぷぷっ、大口を叩いてたくせに腕を切断された程度で当人は顔を液体まみれにしてるし。

 他の連中は腰抜かしちゃってるじゃん!

 ふふん! 私がちょっとその気になればあの神殿の上空にある魔導衛星からの遠隔射撃でこの通り!!



『リナっ!』


『うんっ!!』



 あぁ、治癒しようとしてるけどその心配はない。

 出血死しないように切断面を焼き切ったから、ちゃんと止血はできてる。

 いやぁ、私の事を小娘とか言ってくれたゴミに対してこの対応とか私って優しいわ。


 切断面が焼かれててもアバズレ聖女なら腕の欠損を回復させる事くらいはできるし。

 まぁ、その腕が元通りに使えるかどうかはアバズレ聖女次第だし、激痛が伴うだろうけど。


「ふふふ、痛い?」


 拷問と称した、旧魔王との戦争でのストレス発散で私もされたから間違いない。

 経験者は語るってやつだ。


「ねぇ、モンブ王?

 罪人には相応しい罰、だった?」



『っ──!!』



 さてと、軽い仕返しはこのくらいにして。


「もう一度言う。

 図に乗るなよ人間。

 私がその気になれば、その霊峰ごとお前達を消し飛ばす事なんて簡単にできる」



『霊峰ごと、だと……』



「クリス、ガスター、マリアナ。

 お前達ならわかってるハズ」



『なっ! それは一体……』


『えぇ、わかっているわ』



 それならよろしい。



『マリアナ! どう言う事だ?』


『……』


『ガスター! クリスっ!』


『っ……』


『悪いが、今は言えねぇ。

 だが、コレだけは言える。

 今すぐにでも降伏すべきだ』



「ふふっ、アレス公国の滅亡……開戦の狼煙は既に上がった。

 今更、降伏なんて許さない」



『だろうな』


『っ──! そうか、わかった。

 ふぅ……魔王レフィー、アレス大公はどうした?』



 あぁ、そう言えばアイツの最期をまだ教えてなかったな。


「国民の命と引き換えに死んだ」



『っ!!』



 まぁ、どの道アイツは死ぬ運命にあったけど。


「お前達も、そうする?」



『『『『『『『『『……』』』』』』』』』



 はい、黙り込んじゃった〜。


「ふん、屑共が。

 ふふっ、まぁ良い」


 それよりも五大熾天だっけ?

 まぁ何でも良いけど、私の邪魔をした愚かな羽虫共には相応の報いを受けてもらう。

 5人中3人には既にノワールからのお仕置きを受けたけど……残りの2人にも罰を与えないと!


「熾天使パウロ。

喜べ、お前と……」



『っ!! ペトロっ!』



「このペトロのために、もう一つ余興を用意した」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る