第129話 う、嘘だよね!?
そもそも、全ての発端はテンプレイベントよろしく言い掛かりを付けてきたガルドがシルヴィアに瞬殺された事にある訳だし。
ここでSランク冒険者たるガルドを圧倒すれば……私も一目置かれて畏怖される事は確実!!
「早く実技試験を始めよう。
ふふふ、Sランク冒険者の実力を見せてみろ」
『シルヴィアみたいに瞬殺しないの?』
チッチッチ、邪神は本当にわかってないな!
確かに瞬殺するのは簡単だけど、今みたいにいまいち凄さが伝わらない可能性がある。
それに比べて、まさしく英雄と呼ぶに相応しい実力を遺憾無く発揮するガルドを軽くあしらって圧倒!
ニヤリと余裕の笑みを浮かべながらSランク冒険者を翻弄すれば……ぐふふ!
しばらくガルドを使って遊んで、底が見えたら最後は一瞬で勝負を着ける。
そして周囲が唖然と静まり返る中、私は地に倒れ伏すガルドを見下ろし……
〝Sランク冒険者と言っても所詮はこの程度か……〟
って言い放つのだ!!
そして一度指を鳴らして最高位回復魔法である
殺さないように手加減されてたとは言え、シルヴィアの一撃を受けて無事な訳だし。
ガルドの実力、最高位冒険者であるSランクの称号は伊達じゃ無い。
それに
Sランク冒険者を圧倒し、そんな魔法をついでと言った感じで執行する超絶美少女!
ふふ、ふふふ、ぐふふふっ! これで畏怖される事間違いなし!!
やっと……やっとだ! これでやっとこの私の力を畏れ! 私のこの世のモノとは思えない程の美貌を崇め! 人間共は平伏する事になるのだっ!!
「さぁ、何時でも何処からでもかかって来るがいい」
「……いや、遠慮しとくわ」
「ぇ?」
ちょ、ちょっと待て。
今この男なんて言った?
遠慮しとくわって聞こえた気がしたんだけど……
「どう足掻いても俺程度じゃあお嬢ちゃん含め、お嬢ちゃん達3人には勝てそうにねぇしな」
いや、全くもってその通りだけども!
ここはナメんなっ! って激昂して襲い掛かって来るところじゃ無いの!?
と言うか、そもそもコレは実技試験!
それを遠慮しとくわって……そんな横暴な事が許されて良いハズが無いっ!!
「ガルドさん……」
そうだ!
いいぞクリスティア! もっとその情け無いSランク冒険者を睨んでやれっ!!
「おいおいクリスティア、そんな目で睨むなよ。
お前だって見ただろ? 俺がさっきあの美女にやられたところは」
「そ、それは確かにそうですが」
「ハッキリ言うが、あの3人は俺なんかよりも遥かに強ぇ。
特にあのお嬢ちゃんは、俺が今まで出会った中でもダントツでヤバイ」
「っ! それは、かの者よりもでしょうか?」
「あぁ、ヤツ何てあの3人に比べたらスライムみたいなもんだぜ?」
「っ……!!」
あ、あれ? 雲行きが……クリスティア! 何で黙っちゃうの!?
「まぁ、そう言うわけだ。
俺はまだ死にたくねぇし、お前らもよく聞け! 忠告しとくが、この3人の実力は遥かに俺を凌駕する。
死にたく無かったら見た目で侮らない事だ」
ガルドの言葉に成り行きを見守っていたギャラリー達から騒然とした感想が沸き起こる。
「しかし、それでは実技試験は……」
「俺よりも強いんだから免除で構わねぇだろ」
「そうですよね」
クリスティア!? うそ! 嘘だよねっ!?
「実力面に関しては当然Sランク。
まぁ、Sランク認定は2カ国以上の伯爵位以上の推薦が必要だから、筆記試験にもよるが……」
「し、失礼します。
クリスティア様、3名様の筆記試験の結果が出ました」
何やら慌てた様子で訓練場に走って来た受付嬢がファイルをクリスティアに手渡し……
「これは……!! えぇ、皆様お静かにお願いします!!」
ガルドのせいで騒然としていた冒険者達がクリスティアの言葉を受けて静まり返る。
「これは冒険者ギルド史上初の事ですが。
今回の特別推薦試験の結果……この場でレフィー様、シルヴィア様、ミーシャ様をAランク冒険者として認定いたします」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます