第77話 全てを話してもらおうかっ!
「んぅ〜!」
ムフフ、好きなスイーツを好きなだけ食べながらモフモフなミーシャの尻尾を思う存分モフる。
楽園はここにあったんだ!
「如何ですか?」
「ん、美味しい」
『全くもって魔王の顔じゃないね』
ふっ、これに至っては仕方ない。
だって絶品スイーツを食べてるんだよ? そんなの自然と頬が緩むに決まってるじゃん!
まぁでも確かに邪神の言う通り魔王になった訳だし、決めないとダメなのは国名だけじゃない。
ちょっとは真面目に皆んなと今後の事を話し合わないと。
名残惜しいけど……仕方ない。
「ご主人様?」
「ん」
ミーシャのモフモフよ! しばしの別れだっ!!
まぁ、スイーツは食べるけど。
けど頷いただけで私の言わんとする事を察して真剣な面持ちになるとは……ミーシャもなかなかやりおる。
「私の目的は勇者共への復讐もだけど、最終的な目標は平穏な生活を手に入れる事」
そして自堕落で悠々自適なスローライフを送る事!!
「第一の目標であるこの大陸の統一はクリアした。
そこで次の目標だけど……今から私の目指す理想を先に説明する。
その上で皆んなの意見を教えて欲しい」
「かしこまりました。
我ら4名、少しでもレフィーお嬢様の助けとなれるよう微力ながら全力で力添えさせて頂きます」
お、大袈裟だなぁ。
もっと気楽に考えてくれていいんだけど……シルヴィア以外の3人もやる気になってるみたいだし、まぁいいか。
「まず最初に国の統治方法だけど。
私が女王として、魔王として君臨する絶対王政……は絶対にない」
まぁ一応は私が魔王として頂点に立つけど、独裁者になるつもりは毛頭ない。
独裁者の立場になった際にのしかかってくるだろう責任を考えるだけで……うぅ、胃が痛い……
そもそも中央集権と抑圧、そして武力による弾圧の先に待っているのは内部崩壊による破滅!
絶対王政なんていずれ破綻するって事は歴史が証明しちゃってるしね。
「君臨すれども統治せず。
これが理想的」
グラン達四魔王が治めていた支配領域……4国を統合したわけだし。
いずれは議会を作って行政を任せて、三権分立を完成させる。
そうすれば晴れて私は自堕落かつ悠々自適なスローライフを!!
『本音が漏れてるよ?』
「こほん、とにかく大陸中心部であるこのダンジョンの真上に首都を作る。
中央である首都には国の統治機関や学校を作って、四方の大都市ではそれぞれの特色にあった役割分担をする」
ようは首都を中心とし大陸全土を1つの都市と見立てて区画分けを行うわけだ。
「でも、これは後々の構想。
まずは国全体の文化、技術、その他諸々を発展させる」
ぶっちゃけ、今の状況じゃあ私が満足する域に全く達してない。
確かに国があったりと当初の想像よりも遥かに高度な文明を築いてたけど、所詮は前世の国……向こう側の大陸と同じ中世レベル!
ふっふっふ、私が持つ化学の知識と魔法を組み合わせて魔導化学文明を作り上げてやる!!
待ってろ魔導列車! 魔導船! そして魔法で空を飛ぶ飛空艇っ!!
魔法さえあれば核兵器を作り出す事すら容易なのだっ!!
『核兵器って……少しは自重しようよ』
自重? 何それ美味しいの?
まぁでも、確かに放射線等での汚染は対処が面倒そうだし核はやめとくか。
『そうだよ。
いくらその世界には魔法があるとは言え、核兵器なんてオーパーツ過ぎるからね』
核の代わりに同等以上の破壊力を誇る魔導兵器を開発してみせるっ!!
『……』
「魔法と科学の融合。
魔導化学を導入する」
「魔導化学、ですか?」
「ん、シルヴィア達が知らないのは当然。
後で皆んなにも教える。
とりあえず魔導化学を導入しての国内の発展、そして……海外との貿易を開始する」
「っ! それは!」
「ご主人様……」
「ん、ミリアとミーシャの想像通り」
海外との貿易。
それはつまりは人間達との国交を開く事。
「しかし、お嬢様……」
「よろしいのですか?」
「問題ない」
いずれこの大陸だけじゃあ資源が枯渇する可能性があるし、勇者共への復讐にもその方が面白い。
それに別に全ての人間を恨んでるわけじゃないし。
「……かしこまりました。
それがレフィーお嬢様のお考えならば、我らは従うのみです」
私は全ての人間を憎んでるわけじゃないけど、同じように殺されたシルヴィアはどうかわからない。
人間を皆殺しにしたい程に憎んでいても不思議じゃないのに……
「ありがと」
シルヴィアには本当に感謝だわ。
「絶対王政ではなく自由な民主主義に、魔導化学の導入と国外との貿易。
この大陸に引き籠るわけじゃなくて、しっかりした国力でもって確固たる社会的地位を確立する……これが大まかな私の理想」
なんだけども……
「けど……見過ごせない問題がある」
まず先日の戦いの最中グランが言った、海の向こうにある人の世……
禁忌とされる異世界召喚に、私がこの大陸のこの場所に転生したという事実。
そしてダンジョンの存在に邪神が言っていた私にやって欲しい事……
「さぁ、洗いざらい全てを話してもらうぞ……邪神」
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