第59話 第三の生贄
竜王グラン。
この終焉の大地に君臨していた四魔王の中で最強と謳われる存在。
事実、事前に行った調査でも竜王の力は他の魔王達と比べても圧倒的。
例え他の魔王3名を同時に敵に回しても負ける事は無い程の実力を誇る名実ともにこの大陸において最強の存在。
そんな正真正銘の化け物がダンジョンに侵攻を開始したって情報は、ゲヘディについて報告を受けた時に一緒に知ったけど……
「3時間……」
ゲヘディが降伏を申し出てから…… 竜王グランが動いてから私が進化の眠りから目覚めるまでで約1時間。
そしてゲヘディ戦に4回目の進化、合計してグランがダンジョンに侵攻を開始してからまだたったの3時間。
それだけの短時間で私のダンジョンが15階層も……この私が寝食も忘れる程に没頭して作り上げたダンジョンなのに!!
ま、まぁ、確かに中層の入り口たる15階層までは特に難しい問題も設置してないし。
罠で死ななければ誰でも割と簡単に辿り着けるようになってるけども……それにしたって3時間って!!
「むぅ〜!」
なんか凄まじく屈辱だわ。
決して自信作である迷宮が簡単に突破されて悔しいとかじゃ無いけど! とにかくムカつくっ!!
「あぁ! 悔しがっておられるレフィーお嬢様もまた……!
ぐふふ、ご馳走様です!
これでまた私のおかずコレクションに新たな一ページが刻まれました!!」
「た、確かに可愛らしいお顔になっておられますね……」
誰が悔しがってるじゃ!!
確かに何でもないみたいにダンジョンを攻略されてイライラしてるけど、これは決して悔しがってる訳じゃない!
そもそもこの程度の事で一々悔しがる程、私は子供じゃない。
えっと……そう!
これは思った以上にグランの侵攻が早いせいで、スイーツタイムができなくなった事に対する苛立ちであって……
『言い訳はそのくらいにして……そろそろ、来るよ』
言い訳? ふっ、バカめ。
これは歴とした事実であって、言い訳などでは断じてないわ!
とは言え……
「お嬢様」
「ん、わかってる」
竜王一派が来た事も事実だし、とりあえずこっちが優先!
マイホームたるダンジョンの15階層の最奥に存在する広い空間。
俗に言うボス部屋だけど。
今は本来ならこの階層から導入してる問題も設置してないし拡張もした。
この時のために仕立てた特別舞台!
「来ました」
「ミーシャ」
「お任せ下さい!」
竜王グラン達がボス部屋に入ったと同時にミーシャがボス部屋の入り口を塞ぐ。
自動的にボス部屋自体の扉は閉まり、ボス部屋に設定された条件を満たさない限り開かない。
さらには扉には結界が展開されており、無理やり脱出する事はまず不可能……なハズなんだけど。
ぶっちゃけ、それだけだと物理的に破壊される可能性は十分にあった。
なんと言っても相手は四魔王の中で最強と名高い竜王グランな訳だし。
しかし! 扉の上からミーシャが本気で氷の障壁を展開した今、流石の竜王でもこの二重の守りはそう簡単には突破できない!!
これでもう竜王はあのボス部屋から逃げられないし、逃がさない。
さてと、舞台も整った事ですし! ショータイムと洒落込もうか!!
『ようこそ、竜王グラン』
私の声がボス部屋の中に響き渡る。
決まった! 姿は見えないけどその声だけが何処かから響いてくるこの演出……むふふ、もっと驚け!!
キョロキョロと周囲を見渡す竜王御一行。
マイルームにいるから辺りを見渡しても見つかるハズないのに……ぷぷ、間抜けだわ。
「シルヴィア」
「かしこまりました」
とは言え、いつまでもこうして遊んでるわけにもいかない。
シルヴィアの転移によって一瞬にして視界が切り替わり……
「私の名はレフィー。
我がダンジョンに侵攻せし愚か者共……おめでとう、お前達は第三の生贄に選ばれた」
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