満月の夜に

丸くなった月を眺めていると、幼馴染から声をかけられた。

「こんなに綺麗に見えるのは久しぶりだから」と少し照れながらも答えると、そのまま横に並んで二人で眺めることになった。


何を話すでもなく、一緒に空を見上げているうちに、少し風が出てきた。この格好だと毛皮がないからちょっと寒いなと思っているうちに、雲も現れてきた。私の願いは届かないのに、雲の長い手が月には届いてしまう。

「あぁ、雲にかくれ…しま…」

途切れがちに呟き、元の姿でしょんぼりとうなだれていると、隣の君が優しく頬を寄せてきてくれた。


薄くなった月明かりの下、森の中へ戻っていく二匹のオオカミの後ろ姿をフクロウだけが見ていた。


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お題「隠す」 06/Mar/2021

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