引っ越し

 大学に進学して一人暮らしを始めた時には、必要そうなものだけを持っていった。就職で引っ越しすることになった時に初めて、物が増えすぎていたことに気がついた。

 アレはダメ、コレはまだ使う、と物を減らせないままに迎えた引っ越し当日。手伝いに来てくれた親の顔には「いくつになっても…」と書いてあった。トラックに載りきらなかった物は実家に持って帰ってもらった。

 それがいけなかった。どうしても捨てれない物は、引っ越しの度に実家に送るということを覚えてしまった。誰も開けたこともない蔵がいくつもあるような田舎だから、どれだけ送っても大丈夫。ご先祖様も私と同じで、物を大事にする人たちだったのだろう…たぶん。


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お題「選ぶ」 03/Oct/2020

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