星たちに囲まれて

小さい頃の一番の遊び場所は近くの海。ぼんやりと浮かんでいるのが大好きで、眠ったままでも波間を漂うことができるようになっていた。

夏の夜には、満天の星をみながら眠ったこともあったっけ。目の前の星々がそんな昔のことを思い出させた。あの時とは季節も場所も何もかもが違っているけど。

名前もわからない星がたくさん見えることだけが同じ。宇宙服を着ているし、船外活動が限界に近づいていることを報せるアラームは鳴っているし。

もっとクロールも練習すれば良かったかなと益体もないことを考えながら、もう一度だけ救援信号を送る。

星々の隙間から宇宙船が現れることを祈りながら、まぶたを閉じて浮かんでいよう。


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お題「泳ぐ」 Aug 1, 2020

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