44.光魔法【1/27】

 柴田さんのインタビューは5時間にも及んだ。

 それを丁寧に編集して、放送することになった。

 俺は事前に見せてもらい、俺が言いたいこと、伝えたいことの意味が取り違えられないかをチェックさせてもらった。

 編集したものは2時間に及ぶインタビュー番組として放映された。


 これは以前放送されたWitchの独占インタビューなどより、過激な反応を日本中で起こした。

 デモ好きな共産主義の方々は呉竹市のタワーマンション前で大規模なデモ活動を行ったが、その呼びかけと街頭車の数、幟の数ほど人の集まりはよくなかった。


 俺は5時間に及ぶインタビューをノーカットで教育動画配信サイトで流した。

 これにも様々な反応が返ってきた。


 一番ヒステリーを起こして反応したのは教育委員会と共産主義よりの野党だった。

 与党の議員からも「あれは言いすぎだ。」などの意見も多々出ているそうだ。

 そう思っている連中はすぐに消えていくだろうから放っておいた。


 この俺の発言と先日のアメリカ大統領からの謝罪会見及び銃殺事件を繋げて考えるマスコミはいなかった。

 考えが及びつかないのだろう。

 反発したのは教育委員会と野党や平和を訴えるNPOなどだが、逆に賛同したのは動画配信サイトを見た視聴者と、多くの親だった。

 これらはあっという間に日本全国に広まり、議員たちの経歴も暴かれていった。


 在日帰化人の案件だ。帰化条件にそぐわない人が多すぎるのだ。

 やくざも同様だった。

 日本の犯罪者の4割ほどは在日帰化人、在日他国人が起こしているものだ。

 これらの統計結果も暴露されていった。

 暴露サイトの視聴数も軒並み伸びていた。


 子供たちはアニメから、大人たちは実感をもって一気に覚醒が始まったのだ。


 俺はテレビを見ながら、報道が日々過激になっていくのを眺めながら、今日授かったスキルについて考えていた。


【光魔法】

『光属性の魔法を自由に使うことができる。』


 …光属性っていったいなんだろう?

 いや、光はわかるんだ。問題は属性の方。


 俺は一人でアフリカの砂漠地帯にまで転移して、考え付く限りの『光属性』の魔法を作って見た。

 まず、砂漠は暑すぎたので、これを軽減できないかと考えてシェルターのような光を遮る魔法を思いついて発動してみた。

 単純にドーム状に覆われたところでは光が遮られ、日影ができた。

 周りからの光があるため暗闇にはならない。

 そのほかにレーザーなども光属性だろうと指先からレーザーガンを発射してみた。

 直進にどこまでも伸びるレーザーが撃てた。

 光学迷彩も光魔法の一種だろう。

 何度も実験を繰り返し、その根本的な原理の仮説まではたどり着いた。


 これって、電子魔法で封印しておいた、原子核の電子を扱うための魔法だ。

 これを応用すると、安全にレーザー砲がフライングポットに取り付けられる。

 それも電力を使わず、魔力を使って撃つ。

 俺たち以外には操作できないだろうな。


 スタンガンのようなものは作れないかな?

 俺はいつものように、ボールペンを魔道具として、極小の電子ボールを発射するスタンガンを作り出した。

 俺はそのあと、アメリカのオフィスディーポ(文房具の量販店)で、大量に高級なボールペンを仕入れて、スタンガンを量産しておいた。

 オフィスディーポとホームディーポ(ホームセンター。家一軒を立てるほどの部材を扱っている。)によく商品を仕入れに行っている。

 日本のそれに比べて品ぞろえが多く、夜まで営業しているからだ。

 昔は24時間営業だったのに

 今は朝6時から夜9時まで(土日)の営業に収まっている。


 俺はできたレーザーペンを家族たちに配った。

 教授たちには魔道具は渡していない。

 どんな魔改造がされるか恐ろしいので。


 俺がレーザーペンを配っていると、美智さんから念話があった。

『のり君。今どこ?』

『ジャパン・ラボにいますよ。』

『…かなりやばいのよね。いい、よく聞いて。日本政府はアメリカ政府と合同で、あなたたちの排除に動き出したわ。まあ、日本政府はアメリカの言いなりね。といっても自国民に対して攻撃することにためらいを持っているのも事実よ。教習場所はあなたの家とタワーマンションの会社、それに関係者の自宅ね。』

『…美智さん。その情報はどこで?』

『洋子の番組を見て、動き出す勢力があるんじゃないかと少しアンテナ張ってたのよ。そしたら、いろいろと動き出した政治家たちがいて、それにアメリカからの追い打ちが来たってところだわ。』

『…よくわからないんだけど、今美智さんは安全なところにいるの?迎えに行こうか?』

『大丈夫よ。いざとなったら隠密や光学迷彩も教えてもらってるしね。それに相手の武器はこの腕時計のアイテムボックスで奪えるからね。』

『大丈夫なら良いか。俺はさっそくみんなをジャパン・ラボに招集することにするよ。』

 俺は念話を切り替えて全員に一切に備品や資料をもって、ジャパン・ラボに集合するように伝えた。

 勿論日米の強襲部隊が来ることは伝えているので、すぐに集まってきた。


 俺はしおりや義男たちと作戦を練り、カウンターアタックに出ることにした。

 なめられっぱなしじゃいやだからね。


 俺たちは教習場所に先回りして、張り込みを行い、武器や衣服をアイテムボックスに収容する部隊と、アメリカ政府、日本政府にそれぞれ報復に行く部隊とに分けた。

 アメリカ政府と日本政府は両方とも丁度議会の最中だ。

 全員丸っとはぎ取っちゃいましょ。


 その日、日本中に前代未聞の全裸の国会中継が放映された。

 撮影しているマスコミも丸っとはぎ取っておいたので、なかなか放送が切り替わらず、全裸で右往左往する国会議員たちがお茶の間に流れた。

 アメリカでも同様なことが起こり、その上で全議員のIDを消滅させておいた。


 時を同じくして、強襲部隊も全裸で目撃されており、移動車などもすべて没収したので、身を隠すすべも持たず、警察に連行されていった。

 何べんやれば気が済むのかな?

 何度やっても懲りないよね。


 日本の政治家たちも戸籍を抹消しておいた。

 日米ともに復旧には時間がかかるだろう。

 鑑定で首謀者を特定していき、日本では内閣副官房長官以下数十名、アメリカでは大統領代理を含む数十名の個人資産も没収しておいた。


 人を殺しに来たんなら、殺される覚悟もできてるよね。

 俺たちの誰も死んでいないから、これぐらいで勘弁してやるよ。

 まあ、どっちにしろ早急に殺されるのが落ちだろうけどね。


 でも、そうか…とうとう日本と手を組んだのか…。

 用意しておいた各議員の暴露動画を一斉に発信した。

 勿論日米ともに。

 これで政治生命も終わるだろう。

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