20.索敵【8/12】
今日は8月12日水曜日。
いよいよ高校卒業認定試験の日だ。
試験は今日と明日行われる。
1日目 8月12日(水曜日)
1:9時30分~10時20分
物理基礎
2:10時50分~11時40分
現代社会又は政治・経済
11時40分~12時40分昼食・休憩
3:12時40分~13時30分
国語
4:14時00分~14時50分
英語
5:15時20分~16時10分
数学
6:16時40分~17時30分
科学と人間生活
今は朝の6時。目覚めて俺は授かったスキルを確認する。
【索敵】
『敵を発見しやすくする。範囲は周囲300m なれると索敵範囲は広がる。』
う~ん。ウィザーズにはもってこいのスキルだな。
俺はチャットソフトに念話でスキルの内容を掻きこんで送信した。
いやいや。みんな今日はそれどころじゃないよね。
俺と母さんは急いで朝食をとって、試験会場に急いだ。
試験会場は俺の家から西にある南関東大学が試験会場だ。
最寄り駅は西呉竹駅になる。
そこまで俺と母さんはバイクで出かけた。
みんな同じ会場なので、続々と集まってくる。
ニンジャが。
みんなに注目を浴びてる。
うん恥ずかしいな。
みんなに緊張している様子はない。
いろいろ試験受けたからね。馴れてきたんだろう。
昼休みにみんなの感想を聞いたが、楽勝のようだ。
このままだと大学模試と同じような結果が出そうだな。
昼からもリラックスして試験を受けて初日の試験は終了した。
2日目も同じ時間割だ。
2日目 8月13日(木曜日)
1:9時30分~10時20分
倫理
2:10時50分~11時40分
日本史(A・B)
地理(A・B)いずれか1科目
11時40分~12時40分昼食・休憩
3:12時40分~13時30分
世界史(A・B)いずれか1科目
4:14時00分~14時50分
生物基礎
5:15時20分~16時10分
地学基礎
6:16時40分~17時30分
化学基礎
これもサクッと終了した。
それこそ美香がいたらあまりにも簡単に解けて疑ったかもしれないけど、すでに俺たちの頭の中には工学系の専門知識が最新の論文まで詰まっている。
「これでひと心地着いたね」
翼がそう言ってきた。
「うん。心置きなく高校を辞めれそうだよ。」
俺はそう答えた。
みんなすがすがしそうな顔をしている。
俺たちはそれぞれ帰路についた。
さて、今週はもう一つイベントが残っている。
そう、最後のライブハウスだ。
先週の土曜日は大変だった。
お客さんが来過ぎて、開場前に店の前に行列ができていたからだ。
急遽美智さんはテーブルと椅子を撤去して、全員立ち見で開場した。
前回の入場料は1,000円でワンドリンクだったのに2回目の先週土曜日は3,000円で立席ワンドリンクだったらしい。
それでも大勢のお客さんが入れず、店の周りにたむろしていたらしい。
俺がお願いして急遽、外にモニターを設置して店に入れなかった人にも見てもらうことにした。一時期商店街は通行止めになったそうだ。
今日はちゃんと通路を確保すると言ってた。
ちょっと気になったので、ハンバーガー片手に16時ごろに店についたのだが、18時開演だというのに長蛇の列になっている。
今日は5,000円取るらしい。
そうしないと店に入れない客が暴れる可能性もあるという。
50インチ程度のモニターではとてもみんなが見れないだろうと急遽商店街と掛け合って、プロジェクターをアーケードにかけて、そこに映し出すことにした。
前代未聞のことだそうだ。
俺は源蔵さんに言って米田工務店の力を借りて、白い布を何枚もたらして下を棒で止めてスクリーンもどきを作ってもらってそれをアーケードにかけた。
商店街との約束で両サイドを通路として幅を少し多めにとってアーケード全体を客席に見立てた。
スピーカーも配置し、念のため警察にも届け出ておいた。
基本商店街は私有地とみなされる部分もあるため、雑踏警備をお願いしたのだ。
俺はそこかしこに座り込んでしまう人たちに立ってくれと協力してもらうように、マジカル・ワールドのスタッフ総動員で声掛けしてもらった。
店も満杯だ。
俺はステージが始まる時間に一人でステージに立ちあいさつした。
「今日も俺たちドロップ、ブレーメン、そしてWitchのステージを見に来てくれてありがとう。そして店に入りきらず外にいる人たちにも感謝します。皆さんにお願いがあります。商店街さんのご厚意で今日は急遽スクリーンをアーケードに掲げて外の皆さんにも見ていただけるように配慮させてもらいました。というのも、申し訳ないですが、入れなかった人たちが暴動を起こすことを危惧したためです。演奏中でももしその兆候があれば演奏を止めて本日のステージは中止します。運営側の精いっぱいの配慮です。商店街様もご協力いただいています。アーケードで座り込まないようにしてください。一般の通行される方の通路は絶対に塞がないでください。こちらのスタッフも配置していますが、どうかもめ事を起こさないで最後まで俺たちに演奏させてください。」
俺はそう挨拶した後、うちのホーンセクションを引き連れて店の外に出て一曲演奏した。それを静かに聞いてくれているのを見て少し安心した。
俺たちが店に引き、ドロップから演奏が始まった。
結果的に言うと、暴れる人は一人も出なかった。
むしろ、雑踏警備に来てくれていた警察官もスクリーンを口を開けて見ていたらしい。
俺は最後のメンバー紹介の曲の後にもう一度あいさつした。
「みんなの協力で今日は無事に終わりました。本当にありがとうございました。これで当分俺たちは演奏しません。申し訳ないですが、ここではもう狭いみたいです。俺たちは9月にどこかでまたライブをするかもしれません。9月の1日にはこのライブハウスで各バンドのCDを販売開始するそうです。よかったら買ってください。宣伝でした。」
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