-04.協力者
しばらくして意識を取り戻した母さんと美香。
いや、俺も気絶しそうだよ。
これって無税で使えるんだよな。
きょう一日で1千万円を叩き出した俺の豪運を母さんも美香も怖がった。
「紀夫、悪いこと言わないから明日学校休んで近所の神社にお払いに行きましょう?」
「兄ちゃん、明日死んじゃうの?」
「死なねぇわ!縁起でもない!」
俺はそう言いながらも、それってあるかもと心のどこかで思っていた。
事ここに至っては、メールの話をするしかないな。
「う~んっと。実は心当たりがないわけではないんだけど…。」
「何なに?お母さんに話してみなさい。」
「そうだよ、美香にも話してちょうだい。」
「うん。あまりにばかげたことなんで、確認したくてナンバーズとか買ってみたんだけど、これ以上になる可能性もあるから全部話しとくね。実は今日の夜中の0時にあるメールが届いたんだ。週刊スキルメールっていうメールで、これから一年間毎週スキルを届けてくれるって書いてあったんだ。それで第1回目の今日は【豪運】というスキルらしいんだ。俺がそのメールを確認したのは入学式の合間で、まさかなとは思いながらも、帰りに目についた宝くじ売り場でスクラッチくじを買ってみたんだ。10枚。そしたら1等から5等までの当たりくじ5枚がその中にあったんだ。こんなのありえないだろ?どんな天文学的確率なんだよと。それで黙ってるのも怖くなって母さんに話して美香と3人で分けることにしたんだ。100万円ずつ。あ、俺のところには2等の10万円も入ってるから俺だけ110万円だね。で、家に帰ってきて、あのメールは本当なのか?俺に豪運ってスキル?が授かったのか?スキルってたぶん才能や持ってる技術のことだと思うんだけど、これってネットゲームで使われてるような言葉なんだよね。あとは異世界物のアニメとかかな。まあ、それで半信半疑で今日の抽選があるナンバーズとビンゴ5を買ったら、1等がそれぞれあたって、1千万円超えちゃったって話だ。」
俺の話を黙って聞いていた二人。
突然美香が
「その週刊スキルメールってやつ。どこに届いたの?」
「俺のスマホ。」
「そのメール見せてくれる?」
「いいよ。」
と俺は美香と母さんにメールを開いて見せた。
二人は何度も読み返しているらしい。
目が上下に動きまくってる。
「紀夫。ここに「毎週お届け」って書いてあるけど、来週にも何かスキル?ってやつが届くってことなの?」
「うん。俺もよくわかってないんだよね。大体この豪運がスキルとして俺に宿ったとしても、それがきょう一日だけなのか、明日からも使えるのかまだ何にもわかってないんだよ。日付見てわかる通り今日の夜中0時に来てるからね。」
「そっか。確かにそんなの見たら確かめてみたくなるよね。ということは明日も検証するの?」
「うん。そのつもりだよ。でも明日はちょっと違うやり方を考えてるんだ。」
「違うやり方ってどうするの?」
俺はその検証を話した。すると美香は
「やるやる。私もやる。母さんもいいでしょ?」
と母さんも巻き込もうとしている。
「確かにお金はいくらあってもいいけど、これで紀夫の運を使い果たすとかになったら怖いわね。」
ともっともな大人の意見をいただいた。
「じゃあさ。俺がビンゴ5の投票用紙をもらってくるから明日試してみよう。」
俺はそう言ってその話を切り上げた。
美香は
「おかねがいっぱいあったら何買ってもらおうかな。」
と夢の世界に旅立っていった。
「美香は成績が悪くなったら何も買わないよ。それにもう中学時代の小遣いは100万円で前払いしているし、あとは自分でよく考えて使いなよ。追加で金くれなんて言い出したら、父さんに言いつけるからね。それとこの話。母さんも美香も誰にも言っちゃだめだよ。お金がいくらでもできると思って誰がたかってくるかわからないんだから。変な親戚が増えてもいやだろ?高額当選者の末路なんて悲惨だからな。そんな話がネットに蔓延してるから。絶対に他人にばれちゃだめだよ。」
と俺は母さんと美香に念押しした。
「じゃあ兄ちゃんもしおりんとかよしりんとかにも内緒にするの?」
と俺に聞いてきた。
しおりんはしおり、よしりんは義男に美香がつけたあだ名だ。
「う~ん。難しいよな。あの二人には共犯者になってもらおうと考えてるんだ。」
「共犯者?」
「うん。一緒に検証するのに巻き込もうと考えている。」
「え~、兄ちゃんそれって悪くない?」
「大丈夫だと思うよ。あいつらもお金が増えてラッキーぐらいのノリで協力してくれると思うし、口は堅いからな。明日しようと考えている検証も協力してもらおうと思っているんだ。」
といって二人を見回した。
「俺の授かった豪運がどの程度影響するのか。ある程度分かってないと怖いからね。そこで二人ともスマホ持ってるよね。それと今日作った通帳も。それでネット投票できるからちょっと付き合ってよ。」
「いいけど、どうやるの?」
「一つは俺が選んだ数字じゃないと当たらないのか。例えば美香が選んだ数字で俺が購入ボタンを押せばそれでも豪運は発揮されるのか。とかだな。取りあえずは3パターンかな。
①俺が選んだ数字を他人に買わせる。
②他人が選んだ数字を俺が購入ボタンを押す。
③俺が選んだ数字で俺が他人のスマホを使って他人のお金で購入する。
まずはこんなところかな?」
と俺は話した。
「確かにそれって興味あるわね。いいわ、母さんも協力してあげる。」
と母さんも美香もスマホと通帳を取りに行った。
俺はそのスマホを使ってそれぞれが今日作った口座からスマホでネット決済できるように設定した。
「まずは母さんに来週のビンゴ5と同じ日のナンバーズでさっきの買い方を試してみよう。」
俺はさっき紙に書きだした3つの方法をそれぞれ母さんのスマホを使って試した。
次は美香だ。
「美香は再来週のビンゴ5とナンバーズにしようか。」
美香のスマホでも同じことを試した。
「あとは通常の宝くじとジャンボ宝くじなんだけど、俺がこれは先に買っちゃったから、同じ回は外して買おうね。違う数字を同時に購入してもどう考えても当たるとは思えないからね。あとは毎週金曜日に抽選があるロト7。これは当たると4億を超えるからね。今週は俺がもう買っちゃったから、来週以降かな。ロト6は月曜と木曜日が抽選でこれは週に2回抽選がある。次の木曜日は俺が買っちゃったからその次の月曜日以降だね。ミニロトは火曜日が毎週抽選だからこれも来週分は俺が買っちゃった。だから再来週以降になるね。明日と明後日のナンバーズは4と3をそれぞれしおりと義男で試してみるよ。この二人は窓口での購入になるから何度か試してみるつもりなんだ。
「これが当たってくれたら、次から父さんのところに行くのが楽になるわね。」
と母さん。
やっぱり親子3人でのアメリカ往復は高くついてるよね。
そのお金は俺が今度から出すようにしよう。
もう既に1千万はあるから、10回ぐらいは行けるよね。5回ぐらいかな?
俺たちはそんな話をして、風呂に入って寝ることにした。
お金の心配がなくなるといいな。
バイクも買えるし免許もとれる。
俺はワクワクしながら明日からの検証を夢見て寝た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます