転生者殺しの死体蹴集団《オーバーキラーズ》
星の薫製
1話 本当は怖い異世界チート
プロローグ
唐突だが俺は幼稚園の時から特撮ものが好きだ。
現在に至っては女児向けアニメも見ている、俗に言う大きなお友達だ。まど未成年だけど。
大人になると実は重い話だったんだなぁと痛感する脚本、可愛い&イケメン俳優、そしてヒーローのアクションシーン
俳優はともかく脚本に至っては日本の厳しい規制や保護者の苦情から幼稚園に見ていたものよりも表面的にはハードな内容はやらなくなっているのもあるから俺は画質が古くても昔の方が好きだったりする。
でも今のやつも見ている、何せアクションシーンの
まあ真似するのは十二か十三歳くらいで色々あってキリがいいからやめたし、実際に殴ってるのではなく演技だと知ったのは25月12日の衝撃、
だが幼稚園の頃からわからないのが同じ暴力を振るうのにキモい怪人とカッコいいヒーローではきっちりと善悪の区別がつけられていることである。
先に怪人が暴れたからヒーローは暴力を振るってもいい、すなわちやられたからやり返してもいい思想だと思っていた。
ある日ヒーローごっこと言われ先に襲いかかってきた自称ヒーロー役の同級生を一方的に返り討ちにした。
幼稚園の頃から絵と殺陣の模倣ばかりやっていたので子供にしては鮮やかかつ一方的な暴力だった。特に必殺白黒飛び回し蹴りは中々の出来だった。
しかしその日の夕方、フルボッコにした子供の母親に俺の母が頭を下げていた。返り討ちにした同級生の1人が「怪人のくせにヒーローを倒すからだ、べぇ〜」と母親の後ろからあっかんべぇをしていたのは今でも鮮明に覚えている。
その日の夜、俺は両親にこっぴどく怒られた。俺は梅干しのように真っ赤でしわくちゃな顔で泣いていたので内容はほとんど入ってこなかった。
やられたからやり返した。
コミニケーション、会話という名の言葉のドッチボール、現時点かつバイオレンスとはいえ暴力も人との関わり方の一種だろう。
だが何故だ。俺を怪人扱いした同級生、怒り責め立てた両親、彼らに何らからの理由はあれど幼い俺の心に力を行使し傷つけた。
だがこの事件の悪人は俺だけだった。
暴力を振るう。ただそれだけが理由だろう。
心よりも体を傷つける者の方が悪。そう思い納得した俺は暴力に対して正義を感じることは無くなった。
大好きな特撮ヒーローのバトルシーンも空虚なカッコいいだけで埋めた。
「勧善懲悪」なんて言葉があるが、善悪の境界は誰が決めた?
テレビでヒーローが守る善良(笑)な一般市民なんて、汚いものを蔑み綺麗であっても足を引っ張る悪意の塊だ。
そういう奴らを肯定する世界だからあんな化け物が生まれて、俺らがせっせこ働かないといけなくなる。
これから始まるのは閲覧注意の異世界
つまらない現実、可愛くなくて都合の悪い人々、それらが蔓延る最悪な世界
特に自分が無力で「どこにでもいる普通の〜」とか思っているのなら読むのやめとけ。
そして#チートとか#ハーレムとかついてる作品読んどけ。
そういう奴らの成れの果てが、これから酷い目に遭う。
それでも読んでくれるってなら本当にありがとう。そしてそんなどこにでもいる普通のシリーズ未満の変態オタク大学生から一言だけ。
なんでも見た目だけで判断するな。
容姿、服装、それだけじゃない。
学歴などのステータス。それらが良いからといって、そんな表面的な情報だけでそいつが素晴らしい人間と断言するな。
この世界はステータスに縛られているが、世界は土台、テレビでいう脚本だ。
俺もそうだが基本的にキャスト欄ばっか気にするだろ?最初に出てくるし、俺も好きな声優は何人もいるから気にしてる。
まあたかが酒も飲めない若造が偉そうなこと言うなって思うだろうけど、俺の仕事相手を見たらよーくわかる。
なにせ相手はステータスムキムキでハーレムを形成できるイケメンだが、中身は自分じゃ何も変われない腐った負け組なんだからな。
さあそろそろ俺のことより話進めろって思ってくるだろうし始めるか。
ああでも再度閲覧注意だ。これから需要皆無の男の全裸が映る。
え?異世界ファンタジーなら女の全裸が普通だろって?
わかるよ。その気持ちむっちゃわかる。俺だって男だから夜な夜なあそこビーンってなって一人でやってるし!
でもな、世の中そんな都合が良くないって知ってるだろ?
特にこの地球という世界の人間はそうだろ?
家族ですら敵に見えて、どうでもいいクラスメイトや同僚が急に無自覚な殺人鬼に転生する世界ではな。
というわけで開幕全裸スタートだ。
それじゃあみんな大好き異世界転生系作品のはじまりはじまり〜
チュンチュン、チュンチュン
狭くもなく広くもない1人暮らしには的確な部屋に雀の鳴き声がなり響く。
「う…眠い…朝バイトなんて…入れやがって…」
右目が髪で隠れている男は文句を言いながら布団から出てきた。生まれたばかりの姿で。
「いい加減いい夢見たいぜ、なぁ
男は枕元に入れた美少女の絵が入ったクリアファイルに話しかけると布団をたたんだ。全裸で。
男は裸のまま台所に向かい衣類から解放された姿のまま冷蔵庫から半額のシールが貼られた鮪と山芋を取り出すと食べやすい大きさに切り、皿に盛り付けた。
「いただきます」
男は無防備のまま解凍したごはんと鮪と山芋を混ぜたものを食べながらテレビをつけた。
「さぁ
男はテレビ画面の左上を見た、そこには9:30とポップなフォントで映し出されていた。
ちなみに男のバイトの時間は10時である。
「……うわぁぁぁぁ!!!」
男は叫ぶと朝ごはんを飲み込むように食べ、目にも止まらぬ速さで歯を磨き顔を洗い、ようやく服を着た。そして男は携帯を取り出し電話をかけた。
「もしもし…あのそちらで勤務している
男は携帯に罵声を浴びせると部屋を出ていった。
男は近場の港まで来ると人気がいないかキョロキョロと周りを見渡した。
「まぁ大丈夫かな」
男は安心と納得が混じったような声を出した瞬間、男の近くで大きな
「よっしゃ急げぇぇぇ!」
男は躊躇いなくバイクに乗ると、アクセルを全開でかけ海上へと飛び出した。
男は気づいていなかったがあまりにも急いでいたのかテレビを消し忘れていた。ちなみに彼が出て行ってからの内容は高校教員連続失踪事件と星座占いであり、乙女座は十二位でラッキーアイテムは金髪だった。
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