キャンプ設営は念入りに
アルナのパーティーは、大男のゴッドがタンク役、いわゆるモンスターの攻撃を一身に受ける役割をしていて、アルナが弓の攻撃と回復のヒーラー役、その他のメンバーがアタッカー役であった。
ゴッドから離れたら即死、と思い半分涙目になりながら、ユッカはパーティーから引き離されないようについていった。
何時間潜ったか分からない。おそらくは40層あたりでようやくパーティーが止まった。
「合格ね、私の勝ち」そう言うとアルナはパーティーメンバーから金貨を一枚ずつ受け取っていった。どうやら新人のユッカのテストを兼ねてダンジョンを進んでいたようだ。
新入団の契約金として10ゴールドという大金が渡され、即座に入団を承諾したが、キリスの街ですぐに銀行に預けておけと言われたのは生命保険の前渡しなのかとユッカは思った。
40層にキャンプを設営し、ここから地下へ探索を始めるということで、クウガとユッカがキャンプの設営係となった。
「パク・フォレストとパク・ルーンは使えるか?」と聞かれた。パク・フォレストは物理防御魔法、パク・ルーンは見えない敵を感知する魔法でいずれも土魔法になる。
両方とも使えるが、パク・フォレストには時間がかかると伝え、了承された。
ユッカは、ぼろぼろのミスリル・ロッドを持ち出すと、まずはパク・ルーンの術式を完成させる。
マナが円状に広がり、半径50メートルに関しては敵も察知できる。
次にユッカはパク・フォレストの術式を詠唱する。
今までにやったことがない程丁寧に、そして時間をかけて。1時間ほど詠唱し、パク・フォレストは完成した。キャンプの外幕は鉄のように硬くなったはずだ。少し誇らしげにしているとゴッドが来た。
「どのくらい硬くなったか?」そう言って背にかけていた戦斧を振り下ろす。
ドーン。という音とともにパク・フォレストはいとも簡単に破られてしまった。
驚いた顔をしているユッカに向けて、やり直しと告げてゴッドはキャンプの中に戻っていった。
あんたが殴ったら解除されないパク・フォレストってあるの?そもそも私がいなかったらパク・フォレストの術式を詠唱できる人もいないじゃん!と思いながら、ユッカは再度パク・フォレストを詠唱し始めた。
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