120字くらいの物語

第21話～第25話

傘を持ち歩けば雨が降らず、忘れたときに限ってポツポツザーなんていうことがある。どうしたものかと思案した結果、持ち歩けば少なくとも濡れる心配はないという結論に至った。次の日、せっかく持ち歩いていたのに電車に傘を忘れてしまいしっかり雨に打たれた。

ゴールドやブラック、プラチナ。クレジットカードにも種類がある。見た目の問題だけではないが、ちょっとした自慢にもなりうるので、手元のクレジットカードをマジックで黒く塗りつぶした。颯爽と取り出し店員にカードを渡したのだが、しっかり怒られてしまった。

あるとき、学校の先生に呼び出された。誰もいない部屋で真剣な表情をしながら迫ってくる。怒られると思っていたら「これまでの生活態度とか観察してわかったんだが、お前も転生してきたんだろ？」と先生は鋭い眼差しで口を開いた。

「何言ってんだコイツ」

あれはダメ。これもダメ。新入社員はマナー講義に辟易としていた。考える余裕すら与えられずに、マナー違反と称されるものを叩き込まれていく。「給料を貰うことはマナー違反です」という言葉でようやく我に返り、慌てて逃げ出した。同期がどうなったかは不明だ。

海の幸が美味しいところを求めて旅行するのが趣味だ。ところが、東京からアクセスのいいところは行き尽くしてしまい、長期休暇を利用しないと難しいところばかりが残ってしまった。移動時間がもったいないと思った僕は、とうとう現地に住み着いてしまった。