第17話 片付けを終えた後には

「リコ、早く書いて終わらそうよ」

「だってねー、やる気起きないだもん……」

 夜中、事務室に集まって仕事をしているリコ達。周りにいる人達も忙しく動き回っている中、やる気の起きないリコは、机に置いた資料を横目に寝そべっている


「レイさん、絶対あの本の事知ってたよね……。ということ、無くなった本のことも、知ってるのかも」

 リコがそう話ながら顔をあげ、向かいに座っているクルミとモモカにペンで指差す

「ほら、夢の中で本を消したとか言ってたの」

「そういえば、報告してないじゃない!」

 リコの言葉を聞いて、クルミが慌てはじめた

「だって、そんな雰囲気じゃなかったし……。クルミもモモカだって言わなかったじゃん……」

「急いで書き終えて、レイさんに報告しなきゃ……」

 と言うと、三人の机に置きっぱなしのたくさんの資料を見てクルミがはぁ。とため息ついた


「そういえば、ミクちゃんは?」

「寝てるよ。ずーっと絵本かざして、動くか頑張ってたみたいだけど……」

 机にあった山積みの資料が大分減った頃、モモカの問いかけにリコが答えながら、資料に目を通し書き進めていると、クルミに追加の資料を渡されて、資料を書いていた手を止めたリコ。気分転換にと席を離れて、三人分の珈琲を持ってきた


「あれも、一応魔術だよね……。ミクは使えないって思っているみたいだけど」

 と話ながら、クルミとモモカに、珈琲を渡しながら話しかけるリコ

「でも、私達が触っても何の反応もなかったけど……」

 珈琲を飲みながらモモカがそう話していると、クルミも資料を書いていた手を止めて、二人と一緒に珈琲を飲んで一息つく


「ミクの本を使うための魔力が、モモカに足りないんじゃないの?」

 と言ったクルミの言葉に、リコが少し首を傾げる

「じゃあ、ミクは私達以上に魔力があるってこと?」

「そうなるわね……」

 リコに言われて、イスにもたれて考え込んでいまったクルミ。リコとモモカも悩みだして黙り込んでしまった。しばらく騒がしい事務室の様子を、三人とも、ぼーっと見ていると、クルミがパンッと一度手を叩いて、リコとモモカに話しかけた

「さっさと、仕事片付けてもう休みましょ。明日もきっと忙しくなりそうよ」

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