業の罰

死んだら償いは足りるそうだ


冷たく澄んだ夜の空気が

血潮ちしおあかを掻き消して

ウイルスのごとく伝染し

ベタベタと喉元を押さえつけようとも


死んだら償いは足りるそうだ


さっぱりとした肢体からだ

ゆっくりと死にゆく身を覚悟して

家畜のにわとりのごとく一思ひとおもいに

ボタンひとつで楽になれるというのに


死んだら償いは足りるそうだ


劫罰ごうばつは避けねばならないそうだ


復讐は何も生まないそうだ


死んだら償いは足りてしまうそうだ


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