39話 年末はぐだぐだ過ごすものだよね! 前編
どうやら、クリスマスパーティーの最中に疲れて寝てしまったようだ。テーブルの上には昨日の名残が残ってごちゃごちゃになってしまっている。周りを見ると昨日パーティーに参加した人達が床やソファーの上等場所を気にせず眠っている。あの後も何時間か楽しんでいたのだろうか、寝顔は全員幸せそうだ。
「んん…。」
と、その時繭が目を覚ます。少しだけ服がはだけていたりしていて直視できない。
「おはよぉ…」
「おはよ。」
「みんなは?」
「まだ寝てるよ。」
「そうなの。じゃあ私お腹すいたからご飯作ってくるね。」
眠たそうな足取りで繭はキッチンへと向かった。それを見送り、僕は床に寝転がる。気持ちの良い日差しに照らされウトウトとしてしまいながら軽く目を閉じる。幸せな日々が長く長く続けばいいな、なんて思いながら。
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目を瞑っても感じる良い香りが鼻腔をくすぐる。目を開け、体を起こすとエプロン姿の繭がトレーに乗せたご飯を持っていた。
「お腹すいたよね?みんなの分もあるから。」
「ありがとう。」
お椀に盛られた白飯を1口食べる。美味しい。横の皿に盛られたスクランブルエッグも食べる。美味しい。
「繭のご飯ってホントに美味しいね。」
「そ…そうかな、ありがと。」
照れて少し赤く染った頬を隠すように繭はキッチンへと戻った。
暫くして他のみんなも目を覚ます。
「おはよー!」
「おはよ。」
「おはよーございます!」
皆の朝の挨拶が小さな部屋に木霊する。微笑ましいその光景を見ながら心が温まるのを感じた。日常の中にある幸福を見つけた気がした。
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みんなでの朝食を済ませ、天ノ宮のみんなは帰宅の準備をしていた。
「昨日は楽しかったよ、ありがとう。雷くん。」
天使さんが言う。その顔は満足気で僕としても嬉しい。
「またパーティーをする時は誘いますね。」
「楽しみにしてるよ。じゃあまた。」
「はい、さようなら。」
玄関を出ていく天使さん達を見送り、部屋の片付けをする。テーブルの上に置かれた皿を洗い、動かしたソファやテーブルを元の位置に戻す。忘れ物がないか一応見てみたが、その心配は無さそうだった。そんな事をしているうちに日は上る。だいたい今は10時くらいだろう。まだ帰っていない緋莉に、茶眩。そして楓ちゃん。3人はソファに腰掛け談笑していた。その光景を見ていると、横に繭が来る。
「みんな、楽しそうだね。」
「そうだね。」
優しそうに繭が笑う。それにつられて僕もまた微笑む。
「お昼、どこか食べに行く?」
「そうだね、楓ちゃんもいる事だし。」
仲良さそうに話す3人を見ながら2人で話す。もう年末だ。ぐだぐだと、まったりと過ごす季節。勿論僕達も年末くらいはゆっくり家族で過ごそうと思ってる。
みんなで、あの頃と同じように。
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