第1話姫が拐われた!
「はっ!せい!やあ!」
僕、ルイ・ラッセルは、今日も槍を振り回す。
「ルイ一等兵!訓練はそこまでにしておけ!何時だと思っている?」
「深夜2時です!」
僕は、そう答えながら槍を振り回す。
「寝ろ!」
僕は、上官の命令を無視する。
『フィンガー!』
「え?うわぁーー!」
地面から、大量の手が出てきて、僕の足首を掴む。
上官が“魔術“と呼ばれている物を発動させたのだ。
“魔術”……この世界の魔術は、魔王からの授け物だ。
魔王は、あまりにも弱すぎる人間に飽き飽きして、僕達人間の一部に、“魔術“を授けたのだ。
だが、魔術を使い過ぎた人間の末路は決まっている。
“魔物になってしまう”のだ。
僕は、そんな代償を背負っている魔術を簡単に使える上官を心配していた。
「イタタタ。お疲れです!上官も訓練ですか?」
「早く寝やがれ!このガキが!」
そう怒鳴りながら、上官は僕の頭を殴りつけた。
「痛い!」
「ほら、さっさと寝るぞ」
僕は、仕方なく槍をしまって稽古場を出る。
「今日もありがとうございました」
笑顔で一礼する僕の耳に、奇妙な音が流れる。
(なんだ?)
突如、カランカランと大きな鐘が鳴り響いた。
「なんだ⁉︎」
とっさに、僕は槍を掴んで王城に向かった。
(あの、大きな鐘が鳴る時は魔族が来た時だ!)
僕は、槍を強く握りしめて、走る。
犠牲が出ないように……。
僕は、王子と、姫が寝ている部屋の安全を確認するために、往王城の階段を駆け上がる。
「けけ!けけけ!」
やっと、目的地についた時、吸血鬼のような見た目をしている魔族が、この国の姫を気絶させて、担いでいた。
僕は、その吸血鬼をどこかで見たような気がしたのだ。
その正体がわかった僕は、血の気が引いた。
「王子様!王子様ですか?お戻りになってくださいませ!」
「嫌だな!私は、圧倒的な力を手に入れた!これで、この国は私の物だ!」
王子は、高笑いをしながら暗闇へと、飛び去っていった、
「あ……終わった」
絶望のせいで、声も出ない。
僕は、膝を地面につける。
僕は、王様にこの事を報告したかったが、絶望が体を蝕み、体が動かない。
「駄目だ!動かさないと!」
僕は必死の思いで、立ち上がる。
すると、フラリと体勢が崩れた。
「あれ?」
ドサリと言う鈍い音が鳴り、僕の意識は暗転した。
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