二章 修学旅行
第12話 班決め リア充は死に晒せ
──
「……ちゃん」
ね
「山ちゃん」
どこからか俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「はっ!」
気づいたら目の前に全裸の
「山ちゃん……」
心桜はゆっくりと近づいていて、
「……山ちゃんの好きなようにして……」
そういうと心桜は大事な所を隠していた手を解放させた。
え、無い。乳首が無い!? こんなの心桜じゃなぃぃいい!
──
「はっ!」
夢か……。俺は何て夢をみてしまったんだ。まさか正夢なのか?
「お前、もう一限目終わったぞ」
「へっ」
まさか1時間まるまる寝過ごすとはな。昨夜心桜をおかずに使い過ぎたせいで寝不足だったなぁ。
ふと無意識に心桜の方を向いたら一瞬目があって逸らされた。
やっぱりそうだよなあ……。
それから2ヶ月の月日が流れた。勿論あれ以来心桜とは口を交わすことはなく、自然と目も合わなくなっていった。
とある昼休み、唯一の友達の聖也とたわいもない話をしていた時だった。
「いやー、高校生活のビッグイベント『修学旅行』がもう間近とはなぁ」
「もうそんな時期か」
ここずっと上の空だったから言われるまで気づかなかった。
「俺の目標は、旅行先で彼女とデートすることだ」
「え? お前いねーじゃん」
「作るんだよ馬鹿野郎」
「マジか」
「とはいえ、めぼしいやつがいないんよ」
「それな」
「は? お前は心桜がいるじゃん」
「……それが、もう話してないんだ」
「あっ察し」
聖也が察した所でこの会話の熱は冷め始めていった。俺が心桜と修学旅行を一緒にデートできたらどれだけ幸せな事か。
幸せ……。そうか、俺は心桜と幸せを感じたいのか。それってもう──
チャイムが鳴った。
「よし、この後は修学旅行の班決めだ。これによって俺らの修学旅行が薔薇となるか否かが決まる」
「可愛い子だといいな」
「間違いない」
そういえば気になったが、心桜はどのくらい可愛いのだろうか? 俺的にはとても可愛いと思うが、それは主観に過ぎないし、あくまで彼女の生い立ちを知っての感想だ。
第一印象は一体どうなのだろうか。とはいえ、告白された回数は確か10回くらいとか言ってたかな。モテることは事実らしい。
去年のミスコンとか出場してなかったが、正直あれはそこそこ可愛いって最低基準で顔が広ければ誰でもなれると思ってる。
だから可愛いの判断基準とかできないな。そもそも人を可愛い可愛くないって区別する時点で最低なことをしてるなもしれない。そんなこと言ったら男みんな最低じゃねーかよ。ってかだいたい人を見た目で判断するなってあるけどあれ
「お前さっきからうるせーよ。早く席付け」
「はい」
──
「よーしお前ら。とりあえず男子は男子、女子は女子の仲良い同士集まれ」
担任の指示の元、俺はとりあえず聖也と一緒になった。
やはりグループというのはもう決まっているもので、一人とか余っている人がいなくて安心した。
どうやら男女でそれぞれグループを作らせて、そのグループは固定で、男女をランダムで組み合わせるらしい。
「しまったなぁ……」
担任が頭を悩ませていた。
「すまん、誰か四人グループの男子で一人山田のグループに入ってくれる奴いるか?」
どうやら人数調整か何かが合わないのだろうか。とはいえこんな変人のグループに入るような奇人がいるわけなかろうに。
「あ、せんせっ、僕行きますよ」
いたぁぁあああ!!?
「えー、晴樹いっちゃうのかよ」
「はるっちいなきゃこちとらつまんねぇよー」
「まぁまぁ、いつも一緒にいるからいいでしょ」
おい、嘘だろ。なんだよりにもよってあいつが来るんだよ。去年のミスターコン優勝のあいつが。
横を向くと聖也も同じことを思っているのだろうか、目がもう殺意のそれだった。
「すまんな晴樹。いつもお前には助けられてばかりだ」
「いいえ、構いませんよ先生」
反則的なやつのスマイルに、女子の一部からは「優しい」「かっこよすぎ」などと声が聞こえて来るのは癪だ。
「おいおいどうするよ聖也、絶対俺ら踏み台とか囃し立て役にされるぞ」
「殺すしかない。こいつがいるんじゃどんな可愛い女子と同じグループになってもみんなあいつの所に行っちまう」
あ、殺意があるのは一緒だったがその理由は少し違かったようだ。俺は純粋に嫉妬だった。
「それじゃ、男女の組み合わせはこっちでやる。文句言ったら処す」
そしてくじが終わって。
「よし、ではグループワークをする。くじの結果通りにグループを作れ」
どうやら5人グループで、女子は二人らしいが一体誰なのだろうか。
先に席に着くと、隣に晴樹が座ってきた。癪だ。
「ひどいな、まだ何も言ってないじゃないか」
出た、その笑顔。ムカつくしウザいし素敵だから癪だ。
「おぉーやった! 晴樹と一緒のグルだ!」
そんな高らかな声をあげてきたのは一言で言えばギャルの夏音という女だ。実は聖也と可愛い女子についての話をしている中で、夏音という名前が出て来ることはよくある。つまり、当たりのグループになったのだが、その当人は既に晴樹にしか興味がなさそうだ。
聖也はというと案の定殺意…おい、なんかナイフみたいなの持ってるぞ、おいやめろ!
「聖也、落ち着け!」
「……あ」
よく見たら定規だった。状況を読めない晴樹と夏音に愛想笑いを浮かべ、体制を取り直したその時だった。
「ちょっと夏音、置いてかないで……」
「「……あ」」
目の前には見間違えるはずのない、心桜が立っていた。
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