【呼吸】
【
たまに
眠る前の布団の中、本を読んでいる時、愛おしい人と共にいる時、空を見上げた時、人の悲しみを感じた時、人の愚かさを感じた時、人のあたたかさを感じた時、小説を書いている時
それは、
それは生まれてすぐに当たり前のように出来ている
それがわからなくなる
気がつくと
空気を吸い込み、空気を吐き出す
空気を吐き出し、また空気を吸い込む
その繰り返しを意識する
深呼吸ではない
整えるのでもない
ただ意識する
吸う
吐く
空気が鼻腔から取り込まれて肺を満たし、肺から鼻腔へ伝わり
ただそれだけのことを意識する
それを
気がつくと
その時、たまに
毎回ではない
曖昧なその
俺は
俺は生きるをしている
そして、どこかで誰かが
自分自身の
長くてもたった100年程度、無意識のままに
俺が
俺が生きるをしているこの瞬間、どこかで誰かが活きている
同じこの瞬間にみんなが
みんなが生きるをしている
それだけで少し心強い
たまに
それでも、生きるを忘れることはない
いまのところは忘れたことはない
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