第5話 鉄の掟
―― 11月25日 月曜
「「「 …はい 」」」
「各自、
「「「 はい! 」」」
「解散!」
週の初めの朝会も終わり、イマリと朝ごはんを食べに行こうとしていた時だった。
「…佐賀セイラ…試験の件で、話がある」
中忍の先生に呼び止められた。
いつもセイラって呼ぶのに、フルネームで呼ばれたことに、変な感じがした。
心臓が、トクンットクンッて早くなる。
なるべく、いつも通りの感じで返事をかえす。
それから、イマリに向き直る。
「…イマリ、先にごはん食べてて!」
「わかったぁ!」
イマリは、ひとりで食堂へ向かった。
私は、その
―― 面談室
中忍の先生と私は、何かの資料が置かれた机を挟んで席に座った。
先生が言う。
「最近、寒いけど体調はどうだ?」
「…まぁ、いつも通り元気です」
作り笑顔の中で、そんな話はどうでも良いなと思いながら答えた。
そうか、そうかと言いながら
先生が資料を手に取り、一息ついてから
真面目な顔で話し出した。
「では、
「はい」
無意識に椅子に深く座り直し、背を伸ばす。
先生は、少し笑った。
「…うん、試験というよりは、初任務と考えたほうがいいな」
「はい」
プレッシャーを和らげようとしてくれているのが良く伝わる。
少し長い沈黙の後、先生がまた真剣な顔になった。
「最初にとても大事なことを話す…これだけは何があっても守ってくれ…命に関わることだ」
「…はい」
少し恐かった。
「今から話したり、見せたりする試験に関する情報は、決して誰にも喋らないこと」
「はい」
「試験に関して、わからないことがあったら私にのみ相談すること」
「はい」
「試験・任務の結果報告は一切、行わないこと」
「…はい?」
報告は大事だって、いつも言ってるのに…?
先生は資料から顔をあげてゆっくりと話した。
「…外部に出た者が、ここと連絡を取れば、この地が明かされる危険がある」
「…はい」
「我々は忍だ…恨みを持つ勢力も多い…わかるな?」
「はい」
「試験は暗殺だ…、報告は無くとも成功か失敗かは解る…心配するな」
「…はい」
暗殺なのは、解っていた。
人を殺める方法だけを、今まで
また、少し長い沈黙。
このあと、先生が喋った内容が
いつまでも私を苦しめることになる。
「試験に成功しても、失敗しても
この地には、二度と足を踏み入れないこと
もちろん連絡も一切、取らないこと
……この地を、一生涯…忘れること」
「……はい…」
それから私は、下忍試験の試験内容、実行日時、標的資料、講演場資料などの説明を受けた。
頭には入って来なかった…。
―― この地を一生涯、忘れる…?
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