28 無

移ろいて哀しき街の灯よ


その一瞬の煌めきも

忘却の闇へと流れ去る



光の向こうの儚き日常は

眼球の表面にすら触れられぬ


まるで、この世の初めより

存在などせぬように



流れ行く光の渦に包まれて


そう、きっと

僕は存在しない



この酔っ払いに

まみれた電車も


音も


光も


においも



君の香りも



世界など

初めから存在しないのだ

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