第77話手紙
数日後、興奮も冷めて普段の日常を取り戻していた頃……勉強を終えて休憩をしているとリアズが私に何か持ってきた。
「マリー様宛に手紙が届いておりますよ」
「えー?私に?」
誰だろう?
こう見えてもまだ子供…学園にも行ってないし、自慢じゃないが友達などいない。
手紙をもらう相手に心当たりがなかった。
「誰からかな?」
手紙を見ると表には私の名前が書いてあり、裏を見ると…
「ん?グレイ?誰だっけ?」
なんか最近聞いた名前だな…
「マリー様、もしかしてグレイ王子では?」
私が首を傾げているとリアズが怪訝な顔をしながら教えてくれた。
「ああ!王子!そうだ名前はグレイだったね!でも王子からなんて手紙くる?」
しかし王子が何の用だ?しかもお兄様ではなく私に?
とりあえず中を確認してみようと手紙を開いた。
「大丈夫ですか?旦那様にお見せした方が…」
リアズが心配そうに声をかけてきた。
それだけ私が怪訝な顔をしてたのだろう。
「あっ大丈夫だよ、大したことは書いてないから」
「内容をお聞きしても?」
「うん、なんか…遊びにおいでって書いてある」
「遊び…ですか?」
「ほら」
私は手紙をリアズに渡した。
「確かに……言葉は丁寧ですが、まぁ要約すると珍しいお菓子が手に入ったから食べに来ないか…って事ですね」
「でもなんで私に?テオドールお兄様じゃなくて?」
腕を組んで首を傾げた。
「あっ!マリー様まだ手紙がありましたよ」
リアズが綺麗に重ねられた二枚目の手紙を見つけた。
「なんて書いてある?」
「えっと…ああ、なるほどだからテオドール様には内緒なんですね…」
リアズが頷くと手紙を見せた。
「なになに?テオドールお兄様と仲良くなりたいのでお兄様の好きな物を教えて欲しい…だから内緒で来てくれないか…なるほど!」
私は勢いよく立ち上がると
「マリー様?」
いきなり立ち上がった私の行動にリアズが首を傾げた。
「リアズ行くよ!お兄様の為に!」
私はリアズの手を引っ張ると急いで屋敷を飛び出した!
「マ、マリー様!駄目ですよ~トーマスさんに許可を貰わないと~」
私はこうしてはいられないとリアズの言葉も無視して御者さんに声をかけて急いで馬車を出してもらった。
「テオドールお兄様の好きなものね!なにがあるかな?」
私は馬車が動き出すと隣でハーハーと息を整えているリアズに聞いた。
「ま、待ってくだ…さい…マリー様…早すぎです」
「え?ごめんね、リアズ大丈夫?」
そんなに走ったかな?
私は赤い顔のリアズが心配になって顔を覗き込んだ。
「マリー様…ずるいです。そんな顔をされたら怒れないじゃないですか…」
リアズはムッとした顔をした後、仕方なさそうに笑って許してくれた。
怒った顔もその後許してくれる優しい顔も可愛い、だからリアズって大好きなんだ。
私達は王宮に着くと…
「はぁ…ここが王子がいる王宮…」
大きな門を見上げる。
「あれ?勢いで飛び出して来たけどこれって入れるのかな?」
私は御者さんに声をかける。
「マリー様…何か通行証とか持ってないのですか?それがないと王宮には入れませんよ」
御者さんが勢いだけの私に教えてくれた。
「あっ、そういえば手紙に何か紙が入ってた!」
私はもう一度手紙を取り出すと
「これかな?」
手紙の間にそれらしき書類が入っていた。
「止まれ!!」
すると御者さんが早速止められている。
「何用だ!?」
「マリー様、通行証を」
御者さんが振り返って声をかけてくる。
「あっ!コレです!」
私は通行証を渡そうと御者さんと喋る小窓から紙を手渡した。
「すみません!お待たせしました、こちらです」
御者さんが見けると
「全く…用意ぐらいすぐにしておけ!」
門番がイライラしながら紙を受け取ると…
「なになに…こ、これは…グレイ王子の許可証…」
「どうでしょう?通れますかね?」
御者が恐る恐る機嫌の悪かった門番にたずねる。
「もちろんです!どうぞお通り下さい。王宮の一番近くまで向かっていいので!」
門番は敬礼をしながら大きな門を開いてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます