第46話未来
「本当に仲良くなってよかった…」
フローラとジェラートは仲良くご飯を食べている三人を見つめた。
二人がマリーの所にいき、一緒ご飯を食べていると報告を受けて急いで来てみれば朝から幸せな光景を目の当たりにする。
「ああ、あの子達は本当に天使のようだ…」
ジェラートはそうつぶやくとフローラの手をギュッと握りしめた。
「私…ジェラート様には内緒にしていた事があるんです…」
不意にフローラが覚悟を決めたように話し出した。
ジェラートはフローラの様子にそっと部屋から出てフローラを隣の部屋へと連れて行く…
そっとソファーに座らせてフローラの瞳を見つめると…
「話してみなさい」
コクリと頷いた。
「私はずっと同じ夢を見ていました…ジェラート様と結婚する夢…そして子供を授かる夢…」
ジェラートは黙ってフローラの言葉に耳を傾ける。
「見るのはずっと同じなんです…ジェラート様が…今とは違い冷たく私を見つめ…部屋に来る事などありませんでした」
「そんな事は…」
「はい、そんな事思ってもいませんよ」
不安そうジェラートに微笑んで見せた。
「そしてマリーは今とは正反対で…わがままでテオドールさんを目の敵にして、シリルをいじめておりました…」
「信じられん…あのマリーが?」
「ええ…なぜそのような夢を見たのかわかりませんが…マリーが産まれる前から見ていたのです…マリーが産まれ…テオドールさんと出会い…こうしてシリルが家に来たことは偶然とは思えませんでした…」
「そこまで見えていたのに…マリーの行動だけが違ったんだな…」
「はい…あんなにいい子なマリーがいつか…あの二人を…と…私は母親失格ですね…」
「そんな事はない!今のあの子達を見てあげなさい!あんなにも仲良く楽しそうにしているじゃないか?」
「……」
「それは君がマリーをそうやって育てたからじゃないのかい?」
「私は…何も…」
「確かにマリーがきっかけで私は君の素晴らしさに気がつけた。でもそれはほんのきっかけに過ぎない…もしそこで君が私の心を掴んでいなければ私はここまで君を愛せなかったかもしれない…私は君だから一緒にいたいと…愛おしいと思えたんだ」
「ジェラート様…」
フローラはジェラートにそっと抱きつくとその温もりに冷たくなった心が温められた。
「それに見ただろ?さっきのあの子達を…あの子達がお互いを傷つけあうように見えたかい?」
フローラは首をふる。
「大丈夫…それにもしあの子達が道を外れてしまったら私達がそれを直してあげればいい…あの子達は私達の大事な子供で我らは親なのだから」
「そう…ですね」
「でも私は決してそんな事はないと信じているよ」
「はい、私もあの子達を信じます…」
ジェラートはフローラを再び抱き寄せると
「話してくれてありがとう…こんな事を抱え込んでいて不安だったろう…」
優しくその頭を撫でた。
「ジェラート様には秘密にしておきたくなくて…」
「これからも何か不安があればなんでも言ってくれ!私達は夫婦なのだから…」
「はい…」
フローラは目を潤ませてジェラートのたくましい胸を抱きしめた。
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