第40話目覚め

私は夜中に目が覚めた…


「ん…」


目を開けるとそこには見慣れた天井が見える。


あれ?なんか凄い寝た気かするけど…まだ真っ暗だ。


て事は夜?


起き上がろうとすると、なんか布団が重い何かが重りとなっているようだ…


真っ暗な部屋に月明かりが差し目が慣れて来るとベッドのそばに人が寄りかかって寝ているのが見えた。


「え?」


見るとお父様にお母様、テオドールお兄様にシリル、トーマスさんやリアズにカミール!?


他にも屋敷のみんなが部屋の至る所で寝ていた。


ん?なんで?


首を傾げていると…


「おはよう…」


聞いた事のない声が聞こえた。


誰?


声を出そうとしたが喉がカラカラで上手く声が出ない…


その声の主は寝てる人を避けながらベッドに近づいてきた。


「ああ無理しないで、今水を持って行くよ…」


他の人を起こさないように囁くように声をかけてきた。


その優しい物言いに少し落ち着いて相手を見ると、その顔がちょうど光が差し込む所を通り顔が照らされその表情が見えた。


ん?やっぱり知らない顔…


少し警戒して近くで寝ていたテオドールお兄様とシリルを起こそうかと迷っていると…


「私は君が熱を出してこの屋敷に呼ばれた医師のセドリックと申します。マリー様だよね?」


こくっと私は頷くと、自分が熱を出した事をうっすらと思い出した。


そういえばなんか苦しかったような…ずっとふわふわしてあんまり覚えていないが…


「汗をかいているから水分を取ろうね、飲めるかい?」


水差しを差し出される。


喉が乾いていたからありがたい、私は頷くと水差しに向かって口をちょこんと開いた。


セドリック先生は笑うとそっと水を飲ませてくれる。


水が喉を通って口の中を潤した。


「ありがとぅごしゃます…」


ペコッと頭を下げるとニコリと優しく笑いかけてくれた。


その優しげな雰囲気にこの人はいい人そうだと安心する。


「顔色は悪くないね、ちょっと熱があるか見てもいいかな?」


こくっと頷くとおでこの髪を少しあげられて熱があるか触って確認している。


じっとその顔を見上げるとふっと目があった。


「うん、大丈夫そうだね」


ニコッと笑いかけるとほっとしたのか空いているベッドにそっと腰掛けフーっと息を吐いた。


そんな先生を見つめると一番気になっていた事を聞いてみる。


「セドリックしぇんしぇー…なんでみんなここでねてるの?」


「それは…」


セドリック先生が思い出したように苦笑する。


ん?


なに?と首を傾げると


「みんなマリー様の事が心配でこの部屋を離れてくれなかったんだよ…一度は部屋から出したんだけどね、ことある事に大丈夫か、何か必要な物はないかと用事を作っては取っかえ引っ変え君の様子を確認しに来るもんで…」


えー!何それ…


みんなを見ると疲れきった様子で寝ていた。


「なのでもう面倒になってね…君を起こさないように出来るなら部屋に居てもいいと許可を出したらみんな仕事を終わらせてきてこの通りさ…」


呆れているのか肩をあげてみんなを見る。


「声や物音をあげないように神経をつかって動いていたからつかたんだろうね…みんな寝てしまったんだよ」


「しょうなんだ…」


心配させてしまった事は申し訳ないがみんながこうしてそばに居てくれた事が嬉しくてクスッと笑うと


「君はみんなに凄く愛されているね」


セドリック先生の言葉に私は笑顔で頷いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る