第25話パパ帰宅

私はご機嫌なテオドールお兄様の見立てた服に着替えると二人で手を繋いで歩きながらダイニングルームへと向かう。


二人が部屋に来るとリアズが私を椅子に座らせようと抱っこしようとするが…


「大丈夫です」


テオドールお兄様がやんわりと断って私をだき抱えて自分のすぐ隣の椅子に座らせた。


「テオドール坊っちゃま…マリー様のお世話は私が致します」


リアズが恐縮だと椅子を引くと


「大丈夫だよ、私がしたくていていますから…これからはマリーの事はなるべく私がやりますから…」


有無を言わせぬ様に微笑むと


「じぶんでできるよ」


いやいや!お兄様の手を煩わせる訳にはいかない!


「それにリアズしゃんのおしごなくなっちゃうの…」


心配そうにリアズを見ると…


「そうでした…リアズすまないね。なるべく私がいる時はマリーの世話を一緒にさせて欲しいな」


テオドールが言い直すと


「も、もちろんでございます」


リアズは慌てて頭を下げた。


良かった…これでリアズさんも職を失わなくてすむよね。


まぁあんまり世話されるの好きじゃないが…今は体も思うように動かないからなぁ…甘えられるところは甘えておこう。


そんなやり取りをしているとママが部屋に姿を見せた。


「遅くなってごめんなさい」


二人に謝ると


「あら、二人ともお揃いの服ね…とても仲良しに見えて可愛いわ」


同じ青色の服をまとう二人をみて微笑む。


「ありがとうございます。お母様、それにしても遅かったですが何かあったのですか?」


テオドールが聞くと


「これから来る子の為に部屋を用意していたの、マリーの隣の部屋にしようと思うのだけど…マリーはどうかしら?」


ママが私に聞いてくると


「だいじょぶ!となりうれしい~なかよくできるかな」


楽しみだと笑うと、テオドールの顔が微妙に変わる。


「マリーの隣か…羨ましいな」


ボソッとつぶやくと


「旦那様から連絡があって、今日の午後には連れて帰れるみたい…」


ママが少し顔を曇らせた。


「どうかしましたか?」


テオドールが声をかけると


「まだはっきりとはわからないけど…どうも虐待されていたからか人を少し怖がるみたい…それで連れてくるのに少し時間がかかっている様なの…」


「そうですか…」


「早く元気になってくれるといいのだけれど…」


心配そうに話すフローラママとテオドールお兄様だったが…私は目の前に出されたご飯に夢中でそんな話を全然聞いていたかった。




その日の午後にジェラートパパが帰ってきた。


テオドールはお勉強、マリーはリアズと遊んでいる。


フローラは急いでジェラートのお出迎えに向かった。


【お帰りなさいませ】


心配そうに駆け寄る。


「ああ、ただいま。すまないね心配かけて…」


ジェラートはフローラを安心させるように抱き寄せる。


フローラは嬉しそうに頬を染めていると…


「あら、あの子は?」


てっきり一緒に来ると思っていた子の姿が見えない。


「それが…」


ジェラートは顔を曇らせて外を見つめた。

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