第3話転生しませんか?
「転生?」
「はい、チートな幼女に転生して異世界を楽しむのもいいし、悪役令嬢に転生して王子様に溺愛とか、なんなら人じゃなくて動物とか魔物とかドラゴンに転生もできますよ!」
「えっいいかな…そういうのは」
麻衣子はいまいちピンと来ないで顔をしかめる。
「えっ…そうですか。今の子はこういうのが好きなのかと…」
猫神様がガックリとしていると
「あっご、ごめんね!普通の人ならきっと喜ぶよ!でも私BLにしか興味ないんだよね~」
「びーえる?」
「そう!ボーイズラブ!略してBL!あっそうだこれだよ」
麻衣子は何故か持っていたカバンからBLゲームを取り出すと猫神様に見せる。
「これね昨日発売されたばっかりなの!まだチュートリアルしかしてないんだけど事前予約で色々と話題になってて!声優さんも最高だし!イラストも最高でしょ?ヒロインの男の子が対象者をメロメロにさせていくんだよ!」
麻衣子は早口でまくし立てると猫神様の髭がピクピクと動く。
「ご、ごめんつい興奮して…あーあこれが出来ないのが唯一の心残りかな…まだ対象者を誰にしようか迷ってたから…」
「ま、麻衣子さん…これは男の人に見えますが?」
パッケージの煌びやかな男性人をみて猫神様が首を傾げる。
「そうだよ、これは男の人達が恋をする話なの!」
「男同士…」
「そう!男同士だから感じる背徳感や純愛感…秘密に愛を育む感じが尊いんだよ…」
麻衣子はうっとりと手を合わせる。
「麻衣子は…男に生まれ変わりたいのですか?」
「違う、違う!」
麻衣子は笑って手を振ると
「私は男の子達が恋したりするのを近くで見れるだけでいいの…私なんかが入っていい世界じゃないからね!」
目をキラキラに輝かせて説明する。
猫神様はじっとゲームを凝視していると…
「なら、びーえる?という世界に転生しますか?」
「えっ!いいの!?」
麻衣子が食いつくと
「はい、男の子ではなくてまた女性として生まれ変わるので大丈夫ですか?」
「うん!もちろん!」
麻衣子は嬉しそうに頷くと、猫神様がほっとする。
「よかった、麻衣子さんが望む世界がわかって…では早速お送りしますね」
「ありがとう!あっよかったら猫神様にこれあげる!」
麻衣子はゲームを猫神様にあげると
「ここは寂しいからね、このゲームでもやってみてよ。本体はまた買いに行ってね!あっ今度は信号気をつけてよ」
「は、はい」
猫神様はゲームを受け取ると…
「私のゲーム機あげてもいいんだけど…あっ!!」
麻衣子は突然大きな声を出すと…
「ね、猫神様!私が死んだ世界ってどうなってる?もしかしてもうお葬式とかしてちゃってる?」
「そ、それが…」
猫神様が言いにくそうに顔を逸らす…
「ま、まさか!」
「はい…そのまさかです。麻衣子さんはあの世界に元々存在しなかったものとして処理されました…申し訳ありません」
猫神様がガバッと頭を下げた。
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