国立ワクチン研究所(5) 拉致
赤城と黒田がワクチン研究所を去った十分後、福山は自身の通勤用の高級国産車に乗って北関東医科大学に向かおうとしていた。「ひょっとしたら、あの男かも知れん」と心に浮かんだ疑念を晴らすため、福山は北関東医科大学の事務部を訪ねようとしていた。
福山が駐車場から車を発進させてワクチン研究所の門に近づくと、門を
「どうされましたか? 体調でも優れないんですか?」
「急に
「病院には務めていないが、私も一応医者だ。ちょっと見せてみなさい」福山が
「先生、大丈夫ですか? 気分が悪くなったんですか? 病院までお連れしましょう」男性は周囲に聞こえるように、気絶している福山に声を掛けた。
その男性と女性は、二人で肩を貸すように福山を車内の後部座席に運び込んだ。女性は福山を介護するよう格好で福山の隣に座った。三人は、男性の運転でワクチン研究所の正門から堂々と出て行った。男性は
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