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 若草姫はずっと背負っていた小さな荷物を地面の上に置くと自分も洞窟の入り口のところの外の光がかろうじてまだ差し込んでいる場所に膝をたたんで座り込んだ。

 ずっと歩きっぱなしだったからすごく気持ちがいい。

 若草姫は全身に(とくに森の中を歩くことに全然慣れていない、細くて白くて華奢な自分の両足に)疲れを感じた。

 若草姫は顔を自分の両手の中に埋めて目をつぶった。

 若草姫はその場所でなにをするわけでもなくしばらくの間、ぼんやりと静かな森の中に降る雨の音を聞いていた。

 若草姫はかすかに眠気を感じた。

 ……危ない危ない。このままだと、このままここで夜まで眠っちゃうかもしれないな。

 そんなことをぼんやりとする意識の中で若草姫は思った。

 でも、それからすぐに(眠りにつくことなく)若草姫の意識は急激に覚醒する。

 それはその暗い洞窟の奥にいる、『得体の知れないなにものかの気配』を確かに若草姫が感じ取ったからだった。

 はっと顔をあげた若草姫は真っ暗な洞窟の奥に目を向ける。

 でもそこにはただの『暗い闇』があるだけだった。(得体の知れないなにものかの姿はどこにも見えなかった)

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