恋愛から始まる僕の短編集

shota

虹の下でまた逢おう

僕は青山晴人。高校3年生。


いつも退屈な毎日だ。


ただ学校に行って友達と会っていつものように「まだ晴人虹が好きなのかだっせー!」「なんかキザだよなー!」とかって言われてからかわれたりして正直うんざりだった。


友達と言えば友達だけど、心から友達を好きとは思うことができなかった。


でもいないよりはマシだった。


友達として初めて話した時、友達から「晴人って何が1番好きなんだ??」って言われたから思い浮かんだのが虹だった。


そして虹が好きなんだって言ったらずっとからかわれてばかり。


そんな事言わなければよかったなんて僕は思ってた。


だから虹が少し憎かった。


僕はこのままこんな感じでただ心の中では孤独でずっと毎日を送ってただ歳をとっていって人生を送っていくのだろうかと思っていた。


正直好きな人なんていないし、今の家族もただ用事がある時しか言葉をかけてくれない。


父と離婚した母親は遊びに行って来るって言ってまた遅くまで何をしていたのか僕が寝てる間に帰ってきてて朝起きたら空になった酒の缶がいっぱい置いてある。


それは僕の家では当たり前の事。


相談にのってくれる時間や聞いてくれるような気なんてなかったように思えた。


僕は不幸だ。


そう思ってた。


でも他の人よりまだマシなんだろうと思っていたからそう思うことも中々できなかった。


3時間目。今から苦手な体育だ。


絵は得意な方だけど運動は全然だ。


よりによってバスケ。


バスケやサッカーは特に不得意分野だった。


そして笛が鳴る。


パスが飛んできてシュートをするにも入らない。


何度しても入らない。


「おい青山ー!しっかりしろよお前!」


また四宮だ。


四宮達也。なんでもできると周りから言われている人気者だ。


正直僕もそれならと羨ましく思ったりしてしまう同じクラスメイトだ。


結局28対12。


僕のせいで負けた。


攻めも守りもうまくいかなかった。


チームの組み合わせも悪かったのかもしれない。


四宮が10点取ったりしていたが四宮だけでは勝てっこなかった。


でも四宮はいつもチームのせいにせず自分の不甲斐なさを感じているようだ。


表面からしか見ていないからよくはわからないがすごくいいやつかもしれない。


僕なんてといつも思う。


そして四宮が僕のところにやってきて「今度は勝とうな!青山!」ってまた言われた。


いつも言われるその言葉に僕は正直嬉しかった。


こいつが友達ならって思っていたりしていた。


そんな感じで苦手な体育が終わってほっとして教室に帰る時に女子生徒が目の前を通っていく。


クラスは違うが同級生の松岡雫と風間詩織だ。


松岡とは少し目があったが目を反らして通っていき、風間はいつものようにまたヘタレ虹だのと馬鹿にして過ぎ去ってく。


虹のどこが悪いんだろう。


綺麗だよな。


でもここでは虹が1番好きと思うのは僕だけなんだろうな。


もしも神様、僕と同じ虹が好きな人が男子でも女子でもいいからいるなら教えてください。って祈ってみた。


どうせいないんだろうな。


こんな学校卒業してしまえばもう周りとの縁なんて切れるし、それまで待つしかないと思った。


でもなんか悲しかった。




そしてさっきまで雨が降っていたが急に晴れた。


そこで僕は虹を思い浮かんだ。


晴れていた後に雨が降ってそして上がった時に虹は見えることがあるんだよな。


だから僕はぼーっと外を見ていた。


そしたら偶然小さな虹が見えた。


僕はやっぱり虹が好きなのか嬉しい気持ちになった。


でもその時見ていた時に友達がやってきて「何してんだよ晴人」


て言われたから虹を見てんだって言った。


そしたらやっぱり「またでた虹だ」


「そんなに好きなら虹の博士にでもなれよ!」


ってまたからかわれた。


そして目の前の虹が少し嫌になった。


その時消しゴムを虹に向かって投げてしまった。


最低だ僕は。




そして4時間目が終わった。


僕のところは大きい学校で珍しいと思うが給食は食堂みたいになっていて同学年の全クラスが一緒に自由に食べたりできるのだ。


「よっ青山!一緒に食べようぜ!」


と言ってきたのはまさかの四宮だった。


初めてだった。四宮とちゃんと話す機会は。


「あぁ、まぁいいけど」


ちょっと焦った。


「俺とお前は1年と2年の頃は同じクラスじゃなかったもんな!」


「まぁ、そうだな」


そんなこんなで話をいつの間にやらしていた。





そして...僕にとって少し奇跡的な運命がやってくる。





この間すれ違った女子の風間がいきなり話しかけてきた。


「おい虹!」


「青山だよ」


「そう青山!松岡がお前と話してみたいとかって言ってたぞ!ヒューヒュー!」


え...松岡が...僕はいきなりだったからびっくりした。


「ほらここ座るぞ雫!」


「いや...詩織。そんな...」


松岡は顔を真っ赤にしてた。


僕はそんな照れている松岡が少し可愛いなと思った。


そして松岡が前に座った。


僕も松岡も恥ずかしがってしまいなかなか目を合わせられなかった。


「あれ?2人とも黙ってるじゃん。雫喋ってみたかったんじゃなかったの?」


「いや...その...急にこんな」


松岡が言うのもわかる。


僕もこんな状況になるとは思ってもいなかったし、女子でこんなに素直に可愛いと思ってしまうのは初めてだった。


すると、風間が余計なことを言う。


「こいつな!虹が1番好きなんだって!変わってるよな!」


「あなたは小学生ですかってな」


僕は下を見たまま顔を上げられなかった。


残念で恥ずかしい状況だ。


しかし、さっきから目を合わせるのもためらっていた松岡がそっと言葉を開く。


「私も虹が1番好き。」


すると風間が固まる。


僕もまたびっくりしてしまう。


「雫も青山みたいにバカにされちゃうよ?やめときなてそんな冗談言うの!」


しかし四宮は違った。


「いや確かに変わってるけどな。でも俺は嫌いじゃないぞ!だいたい虹のひとつでこんなずっとからかっている方が変わってんじゃないのか!俺はこんな2人がからかわれていくところなんて見たくねぇ!ちゃんとしっかり考えろよ!風間!」


「四宮...」


四宮はやっぱりいいやつだな。


「はいはいなによバカらしい。全くいっつもカッコつけて」


「でも虹って綺麗じゃない?詩織。私...青山くんがからかわれて嫌な思いするところは...もう見たくない...」


「それでも止まないなら、私も...からかわれたりしても...構わない。虹が1番好きなのは本当だから。」


「でも...」


「でも?」


「いやなんでもない!」


そして松岡は給食を残して1人先に去っていった。


でも僕は松岡ってこんなに優しい子なんだって初めて知った。


前からは気になっていたけど、松岡が虹が1番好きというのを聞いてさらに少しだけど興味が湧いた。


それで僕は松岡と友達になって虹について楽しく話せたらいいのになって思った。


でも神の悪戯かな?


松岡は構わないて言ってたけど、松岡までもし一緒にからかわれるようになったらどうしようて。


さすがにそれは辛いと思う。


あと、「でも」って言ってたのはなんだったのだろう。


結局家に帰ってずっと考えても答えは出なかった。




僕はその次の日いつものように学校にまた行った。


すると周りのクラスメイトから事実でない事を言われる。


「晴人!お前昨日学年の美女子で有名な松岡に告白されたんだってなー!」


「いいよなー!キザな男は違いますねー」


さすがに僕は我慢できなかった。


「いい加減にしろよ!松岡に告白とかされてねぇし、だいたいなんでそんな言いがかり受けないといけねぇんだよ!松岡がかわいそうだろ...こんな俺となんて...」


そう言ってしまった。


それからずっと毎日毎日こそこそ松岡との事を周りは勝手に言っている。


告白なんてされてないのに。


だいたいそういう噂作ったのは風間だろて思ってた。


そしてとある日偶然帰りに松岡と会った。


「松岡...あの!」


そしたら手を振って松岡はすぐに走って去っていった。


なんで虹の事くらいで、なんで松岡と少し関わったくらいでと、なんかぐしゃぐしゃになり悔しくて悲しかった。


そう思ってたら四宮が「お前は悪くないよ。俺が風間に挑発的なこと言ったからこうなったんかもしれないしな。」


そうその時偶然見ていた四宮は言ってくれた。


僕は涙が止まらなかった。


そして僕は「四宮、ありがとう。。。」


と泣きながら言った。


四宮は本当にいいやつだと思いその時つい握手をした。


四宮は今日の別れ際に「俺がお前たちの事これからも支えてやるよ。お前もよく頑張ってる。本当は松岡もそう思ってるはずだよ」


と言ってくれた。


そして僕は家に帰ってその時のことを思い出しながら泣きながら眠りについた。







その翌日


今日は学校が休みだ。


何をしよう。


遊ぶ友達もいないし。


そんなこと考えてたら急にインターホンがなる。


ピンポーン


誰だろうと思ってはーいて言って恐る恐る見てみると、四宮と風間が立っていた。


「なんだよ風間もかよ」


「失礼ね!私はお詫びをしたくて来たのに!」


「お前のせいでもっとからかわれるようになったんだぞ!」


「それなのによく来れたな!」


そしてそっと四宮が言う。


「実はな...風間じゃないんだ」


「は?」


「風間は周りに違うとひたすらみんなに言って、お前たちの誤解を解こうと必死になってそう言ってたんだ。だからたぶんお前達のことを噂流したやつは他にいる。」


僕は崩れてしまう。


ずっと風間が悪いて思っていたのをものすごく悔やんでしまった。


「風間...本当にごめん...」


「大丈夫よ私なら。でも私のせいであんた達がそうなったんだから罪感じるし。」


もうなんでいつもこんなんなんだよ。


正直辛い。辛くてしょうがない。


「だからあんたにプレゼント。」


そしたら2人の後ろから松岡が来た。


「松岡...」


でもいろいろと苦しくて目を合わせられない。


そしたら松岡は


「青山くん...詩織や四宮くんがいてくれてよかったね。」


「私たちは幸せものだね。」


と泣きながら松岡は言っていた。


「さてと、あんたらいってらっしゃい!」


そしてあの恥ずかしがりやの松岡が僕の手を引っ張っていく。


「風間!四宮!ごめん!」


そう僕は言ってとにかく走った。


いっぱい走った。


そしてついたのは小さな公園だった。


「青山くん。ここで滅多にないけど虹が見えるんだって。」


「あ、あぁそうなのか」


虹か、松岡ほんとに好きなんだな。


俺より好きなのかな。


「私、実はもう少しで引越しするんだ。」


「えっ?」


「今更だけどね...」


僕にとって希望がなくなるような一言だった。


「でも私前から、1年生の時くらいからかな?青山くんの事好きだったんだ。」


「そ、そんな...」


「もし...」


「もし?」


「また1年後、5月9日ここでまた逢えたら...その時は付き合ってくれないかな?」


松岡からの急な告白だった。


すると、


「あ!青山くん!」


「ん、何?」


「ほら上見て!」


そうして見てみると、普通ではありえないはずの虹が真上にあった。


「えっこれって...」


「ありえねぇ。」


2人でずっとその奇跡を見ていた。


そして、さっき言おうと思ってた事とちょっと違ったけど今この時に僕は松岡に言った。


「虹の下でまた逢おう。」


「5月9日にここで...」


「うんっ!」


そしてそっと生まれて初めてのキスをした。






そして朝にまた目覚まし時計がなる。


今日も学校。


結局松岡は転校して、僕も恋をしたままお互い泣きながら別れを遂げた。


そしたら僕の心の中は空っぽ。


もっと松岡と1日でも多くいたかった。でもそんなことを考えても松岡はこっちの学校には帰ってこない。


そう思ったりもしてたけど、でも僕はいつの間にやらもう現実を見て諦めてた。


でも四宮が自然と親友になってくれて、この間の風間のいいところを四宮が知ってさらに溶け込んでいって彼らは付き合う事になって楽しそうだった。


正直うらやましかった。


でもそれは僕にとっても幸せなことだった。


そして四宮が


「晴人。まだ松岡の事気にしてんだろ?」


「いやもう大丈夫だから。」


「連絡先は交換してたのか?」


「それがあの後すぐに松岡は家に帰って行って、俺は前の家も知らないままだったよ」


「おい詩織は連絡先知ってんだろ?」


「それがさぁなんでか雫に連絡つかない。」


なんでだろな。


本当に来年の5月9日にあんな奇跡がまた起こるのだろうかと不安になってた。


あと、松岡は本当に来てくれるのだろうかとちょっと心配だった。


「よし!3人で晴人ん家いくぞ!」


「おー!」


「嫌だよ!」


そして無理矢理ひっぱられながら僕は連れ去られる。


「おい!恥ずかしいんだよ四宮!余計な事を考えんなよ!」


「いいじゃないか俺たち仲良しだし!」


「いやあのなー。」


結局お母さんが入れやがった。


「あら、晴人の友達?散らかってるけどどうぞー。」


「はーい!お邪魔しまーす!」


そして部屋の中をいちいちみやがる。


「なんか普通の部屋ねぇ」


「普通で悪かったな。」


そしてジュースを飲みみんなで話しながらテレビを観ていた。


すると、ニュースが出てきて、


「こんにちは、お昼のニュースです。東京都〇〇区の道路で本日12時頃ひき逃げがありました。」


他人事の様に聞いてた。


「被害者のお名前は松岡雫さんで...」


その時3人とも凍りついた。


そして僕は、


「おい嘘だよな嘘だと言ってくれよ!」


「これは夢の中か...?」


って思って頬を引っ張っても痛かった。


3人とも落胆した。


そして風間は泣いている。


「いやー!雫ー!」


その姿を見て僕たちも泣いてしまう。


どうやらテレビのニュースによると松岡は意識不明の重体らしい。


「また逢おうて言ってただろ。」


「2人で約束...したろ...」


そして四宮が、


「おい!松岡の見舞いにいくぞ!」


「でもどこの病院かわからないんだよ?」


「だったらじっとしていろってか!詩織お前は松岡の親友じゃなかったのか!」


「そうだけど...」


そして僕たちは東京のあらゆる病院を手分けして周った。


しかし僕は見つけられなかった。


「そっちは見つかったか!?」


「無理...」


「四宮は!?」


「いや片っ端から探したけどいねぇらしい。」


結局、松岡がいる病院は見つからなかった。


また神の非情な悪戯だった。



そして僕たちは松岡の事を東京中で探したが見つからなかった。


でもひとつ噂を聞いた。


すると、松岡雫は死亡したという話だった。


僕はその話を聞いた時ずっと泣いていた。


「松岡...お前辛かったんだろうな...本当はもっと生きたかったよな...僕たちもう2度と逢えないんだよな...」


涙が枯れ果てるまで泣いた。


1日中泣いた。


それから僕たちは松岡の事を探し出すのは諦めてしまった。


でもまた逢えると信じ生きて行こうと思った。それが偽りでも。


そして僕は学校を卒業し、大学に入学した。


きちんと勉強もして、でも松岡の事を思い出してはむしゃくしゃしてた。いつも悲しかった。


すっきりしない日々が毎日続く。


卒業したら周りとの縁が切れるからいいなんて考えてた自分と今の自分は違った。


そして四宮と風間との縁はきれなかった。


いつも2人は明るくて僕が悲しい中、笑顔にさせてくれたりしていた。


ずっと親友だった。


そんな感じでずっと過ごしていた。


そして月日が経ち、今日は松岡とあの時虹の下でまた逢おうと僕が言った約束の日だ。


5月9日。


僕はあの小さな公園に行くことだけでもしたかった。


約束してたから。


だから今日はその公園に来た。


周りを見るがひとけはない。


だけどあの虹を思い出した。


ありえない真上に見える虹。


すごく綺麗だった。


もうさすがに見えないだろうと思って、もう帰ろうとしたその時。


なにか上に違和感があり、見ると虹が真上にある。


同じ光景だった。


「そんな...またこんな...」


奇跡だった。


普通こういう現象があるはずはないのに。それに2度も。


そして少し涙や笑みを浮かべ帰ろうとした時、目の前に綺麗な女の人が立っていた。


その女の人は僕に向かって一言こう呟いた。

























「青山...くん?」


























神様。


こういう事だったんですね。


神様は僕にこういう試練や運命を与えたんですね。


もしかしたらこの虹は神様からのプレゼントなのかな?


僕はそう思っています。


ありがとう神様。




そして君がこの世にいてくれて本当にありがとう。


僕は君のことが大好きだ。


僕と付き合ってください。





























虹の下でまた逢おう  終















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