気まぐれな七夕と少女

たもたも

ぷろろーぐ 

少女は怒声で目を覚ました。

 

 ベッドから降り、眠い目をこすりながらリビングに向かう。時刻は二十三時を回っていた。こんな時間に起きていることを知られたら母親に怒られてしまうので、ばれないようにこっそりとリビングの中を垣間見た。


 見えたのは少女の父親と母親。あまり詳しくは聞こえないが、決して穏便な雰囲気ではないことは分かった。


「仕方ないだろ。上で決まったことだ」

「こっちだって一年も前から決まってたことじゃない! ……あなたは、家族よりも仕事を取るの?」

「……あぁ、仕事を取るね」


 そう言い残して、父親は自室のある二階に姿を消した。少女は今すぐにでも母親のところに行きたい衝動に駆られたが、怒られるのが怖かったので、涙を飲んでベッドに引き返した。

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