お兄ちゃんのことを一人の男の子として好きになってはいけませんか?
黒猫(ながしょー)
第0話 プロローグ
入学式が終わった後。
俺、
周りを見渡すと、みんな名前を知らない子ばかり。
それもそのはず。俺は親父の転勤とともに
大体クラスの関係はこの時に構築されていくと言っても過言ではない。面白いキャラだったり、話し上手であれば、それだけでリア充グループの仲間入りだし、そうでなければ、非リア充の仲間入りだとは思うけど、俺の場合は……はは。誰も喋る相手がいないからこの時点でぼっち確定、非リア充の仲間入り!
非リア充はともかくとしてぼっちだけはなんとか避けたいところ。誰でもいいから積極的に話しかけないと……と、思った矢先だった。
教室の引き戸が音を立てながら開けられると同時に担任と思しき若い女性教諭が入ってくる。
茶髪のロングストレートにほんわかとした顔。スカートスーツを着こなし、優しいお姉さんみたいな雰囲気が漂っている。
「はい、みんな席についてー」
なんとタイミングの悪い……。
みんなは女性教諭の存在に気がつくと、速やかに各自席へと戻っていく。
こうなってしまった以上、話しかけるのは放課後になってしまうが……まぁいいだろう。
「入学式お疲れ様でした。結構大変だったと思いますが、あともう少しの辛抱なのでお付き合いください。それではさっそく自己紹介から一人ずつお願いします。同じクラスになった以上、クラスメイトの名前は必ず知っておかなくてはなりません。あ、私の自己紹介はまだでしたよね? 私は
七瀬先生は白チョークを手に取ると、黒板の中央に大きく名前を書き込んだ。
「年齢は二十六で、趣味は読書と映画観賞です。これからの三年間あなたたちの担任となりますが、初めてクラスを持つことになりましたのですごく緊張しています。至らないところもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
七瀬先生が軽く頭を下げたところで一通り拍手が沸き起こった。
それからして頭を上げた七瀬先生は少し照れた仕草を見せつつ、ジェスチャーで「どうぞ」と一番右端の前を指す。
簡潔な自己紹介がどんどんと終わっていく中で、とうとう俺の番となってしまった。
俺は席を立つ。
緊張のせいか、手汗がとにかくやばいが俺は落ち着きながら自己紹介を始めた。
「は、初めまして。桜ヶ丘中学から来ました上石春樹と言います。特技は――」
ガタンッ!
大きな音がした。
俺は言いかけた言葉を一旦引っ込め、音がした方向に視線を向ける。
そこには一人の女子がこちらを見つめていた。
黒髪のロングに一部両サイドをリボンで結んでいる。目はぱっちりに見開かれ、驚いた表情をしていることはすぐにわかったが、それにしてもすごく整った顔。少なくともクラスで一番可愛いんじゃないだろうか?
その子はどれくらいか俺を見つめた後、ゆっくりと口を開く。
「お兄ちゃん……」
…………………………………………………………………………………………………………は?
この時点でクラス中がシーンと静まり返ったことは言うまでもない。
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