第20話


上林さんと話し込むルリ。


上林さんは店の三軒隣のワインバーの常連で白ワインを好んで飲む。バーの帰りワインとルリに会うため、この店へ寄る。地下のワインセラーで自身でワインをセレクトしたりする。



珍しく酔ってない上林さん。

『ルリちゃん、明後日の接待のお土産代、これでお願いしてもいいかな』

と、封筒を渡されるルリ。

「かしこまりました」

『じゃ、明後日の接待お願いね』

「はい」

と言い上林さんはお店を後にした。


明後日の接待の二次会で銀座のクラブを1カ月前から予定していたが、店が倒産してしまい、急遽五反田のルリにお願いすることにしたそうだ。


同じくお客様を見送ったばかりのアキに、声を掛けられる。


『ルリちゃん明後日の接待大丈夫?』

「……接待に同行したことはあるのですが……」

『夜のホステスがする接待は違うのよ』

「……え?」

『お客様は何名様?』

「5名様です」

『チームプレイが必要よ、謙虚で程よくセクシーで調和がとれる女性がいいわよ』

そこまで考えていなかったルリ……

「どうしよう……」

アキさんが言う条件に合うキャストは思い当たらない……考え込むルリにアキが言う。

『大丈夫、私に任せて……お客様へお土産を渡すならクロークへ預けるのよ……』

「…………はい、ありがとうございます」

さすが、元銀座のママ。

アキに助けて貰うことにしたルリ。


それを近くで聞いてたユリア


それから2日後……

上林さんがお客様を連れていらした。

店長がVIPルームに用意してくれたルリが生けた花が熟女クラブを和らげる。

そして私の白色とは対照的な黒色のドレスに胸元の露出をセクシーにしたアキさんが、たまにしか出勤しないという品の良いまなみさんとやよいさんといおりさんを連れて来てくれた。ルリとは初対面だった。


その日、上林さんはワインを召し上がらず、アキさんは端で見守り、

まなみさんとやよいさんといおりさんが手慣れた様子でお客様をおもてなしし

無事にその時を終えた。


お見送りの際、

『銀座もいいが、五反田いいね~また寄らせて貰うよ』

とお客様は満足げに仰られ、上林さんもほっとしていた。


お客様がお店を出る前、用意したお土産を取りに更衣室へ行くルリ。


「あれ?無い……」

探すルリ


ルリが、出勤時そこに置いたお土産が無い……。


ユリアが包装紙を破り中身を握りつぶしゴミ箱へ捨てたのだ……。


中々戻ってこないルリを心配し、アキが更衣室へ来る。

『どうしたの?』


「ここに置いた手土産が無いんです……」


『なぜクロークへ預けなかったの!』

声を荒げるアキ

「……すみません」

『来て』

ルリの手を引きクロークへ行く


アキがルリへ紙袋を4つ渡す。

『これを渡して』

「ありがとうございます」


お客様の元へ急ぐルリ。


その間やよいさんが場を盛り上げてくれていた、お客様へお土産をお渡しし、無事にその場を乗り切ったルリ。


お客様達はその後、まなみさんとやよいさんといおりさんとアフターへ出掛けた。


お客様を見送った上林さんは、

「ルリちゃん、ありがとう』

と言い、迎えのハイヤーでお店を後にした。



『あの女の子達は大丈夫よ、私が大切なお客様が接待で来店されるとき、出勤して貰ってるから』

とアキさんが言う。


「今日の為に……アキさんありがとうございました、本当に助かりました」


『手土産は、クロークに預けないとだめよ、お客様へお渡しするものは更衣室に置いては絶対にだめ……、』


「はい」



アキさんの怒った姿を始めて見たルリ……反省する


『ルリちゃん……お疲れ様』

店長がルリに声を掛ける。

「……店長……」

『ルリちゃん……アキさんが入店したばかりの頃、今のルリちゃんと同じくひどい嫌がらせに合ったんだよ。

アキさんが接待のお客様へ渡すお土産が無くなっていた、ゴミ箱へ捨てられていたんだよ、アキさんは、その日お客様へお土産を渡すことが出来なかった……今回ルリちゃんが同じことにならない様にアキさんはお土産を用意していたんだと思うよ』


「アキさん……」



更衣室へ行き、ゴミ箱を覗くアキ……

ルリが買ったと思われる箱の包装紙が無惨に引き裂かれ握りつぶされ捨てられている。

『やっぱり……誰がこんな事を……』



ルリがお客様へお土産を渡している姿を見たユリア……


…どうして………許せない……ルリ……















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