宇宙の部
これまでの考察にあたって、太陽系、ブラックホール、質量による時空間の歪みなども裏で参照していた。
そこで最後に、宇宙における、空間の量子と、熱、重力、質量体の関係性を推測する。
概要を眺める。
質量を空間配列とすれば、内側で引力と斥力が釣り合っており、外側へは引斥力を及ぼさないはずである。
電荷的な平衡状態にある質量体は、外部へ引力も斥力も及ばさない。
これを仮に、空間配列保存による慣性の法則と呼ぶ。
同書によれば、空間の量子は、極小の閉鎖回転で重力力線を描き、空間を保てないほどに密集すると、「反発する力」を持つという。いずれも斥力的である。
引斥力を持たない質量体と、斥力を持つ空間の量子が触れ合うと、空間の量子は、質量体を中心にして、渦を巻き、中心部へ向かって密集する。その渦が十分に大きいとき、渦中にある質量体は、外部への引斥力を持たないため、何らの抵抗もせず、中心へ流される。水の渦へ飲み込まれる枯れ葉のように。そこで受ける力は重力として観測される。この際の重力は、中心から十分な距離があれば線運動をとり、近づけば角運動となる。降着円盤が角運動領域か。
中心部へ押し寄せた空間の量子は、その圧力によって質量をエネルギーに変換、質量体の振動、電磁波の放出で、渦の辺縁方向へエネルギーとして散らばっていく。これを重力に耐える熱とする。
空間の量子は質量体を中心に渦巻いて密集し、自身の「反発する力」でエネルギーとなり離散する。
質量の中には、静止した時空間が閉じ込められている。渦の中心へいくつも落とされれば、止まった時が、降り積もる。時空の歪みは増えていく。
万有引力は、質量体自身が引っ張るのではない。空間の量子が中心へ向かって渦巻く力に流されて発生する。厳密な中心部は台風の目と同じく零力となる可能性がある。そこに存在するのは引斥力零の質量体であろう。空間の量子が密集している場所では、質量体が高温となる確率を増やす。
これを、空間の量子の渦理論と仮称する。
よくよく調べると、似た学説があった。十八世紀の哲学者デカルトが説いた、天体運動に関する渦動説である。これを、ニュートンさんが万有引力の法則でフルボッコにしたらしい。ゲージ粒子が力を運ぶとすれば、近接作用説は支持されそうだ。一般的に、重力は重力子が運ぶのだろう、とみられている。
いくつか、細かく見ていこう。
重力と熱は、空間の量子につきまとうと仮定する。
重力のある場所では、極小の閉鎖回転である重力力線が、渦に乗って大量に降り注いでくる。回転自身が定方向へ進めば、その方向へ力を与えるはずである。質量が等量な空間の量子を含んでいれば、質量と空間体積は相関的になり、質量と渦の強さ、重力の強さ、も法則性を持つのではないか。
質量体が、多方向、とりわけ反対方向から重力力線を受ければ、振動したり、高温になったりするかもしれない。その場合、重力力線は、熱源にもなる。
質量体の移動が速くなると、強い重力が生まれる。重力力線の抵抗を受けるからだろう。
重力と質量の多い場所で、時間の進みは遅くなる。
空間の量子が密集して、空間的に、取りうる選択肢が少なくなると、情報減少に伴って、変化が緩慢に、時間がゆっくりになる。
空間の量子の完全なる密集は、互いの取りうる選択肢、情報を奪うようにみえる。「反発する力」は情報、即ち時間を取り戻すために働くのではないか。
ブラックホールについて考えよう。
質量は渦に流され、中心へ集められる。ブラックホールでは、純粋な、質量のみが蓄積している。時間の止まった時空間だけが集積される。質量そのものである中心部は、重力がなく、熱もなく、時間もない。通常は小さすぎて見えない重力渦の質量中心を、拡大顕微鏡で覗いているようである。入った質量は全て、エネルギーになって出てくる。その配列を選択肢とする情報は、全て失われる。
ブラックホールが質量そのものであり、その周囲で強力な重力を生み出す空間の量子は渦巻いているとしたら、なぜ、エネルギーに変換していないのか。「反発する力」に質量が勝っている。質量へ包囲されていない、辺縁の質量のみが、引力のない空間へ向けて「反発する力」を放出できる。真実であれば、初期宇宙は、無重力状態におけるブラックホールの蒸発と同程度の速度で膨張していた。
宇宙にある全ての質量を集めて作ったブラックホールは、完全ブラックホールと仮称する。質量が永久に存在する前提で、この説を支持するなら、宇宙は完全ブラックホールより小さくなることはできない。即ち、質量の最小体積分は必ず存在し、それより小さくすれば、むしろ「反発する力」が表に出て、時空間を広げてしまうはずだから。そして、質量を配列する引力は、とても根源的で、極限状態においても、無力化したり斥力化したり、しないと思うのだ。宇宙収縮に必要な引力は、空間の量子を質量化してしまうのではないか。
視覚的に質量と熱の出入りを観察する。空間の量子の密度と相関しそうだ。
湖面に映る富士山を思い浮かべよう。
実際の富士は上へ、鏡面の富士は下へ向けて頂を作る。
水平線で完全な線対称とし、それは、空間の量子の密度が等しいことを示す。
質量は、鏡面の富士に例える。
空間の量子が作る渦の流れに従って、下方の頂へと転がり落ちる。
高温となる確率は、実際の富士に例える。
密度が高い上方の頂から、すそ野に向かって滑り降りる。
圧力の強い中央で、質量からエネルギーへの変換は起こりやすい。空間の量子密度が濃いほど、質量体は、多方向からの量子と接触、振動、高温となる確率を上げる。空間の量子の動きは不確定であるため、そこから生まれる熱も確率的である。
上下反対の鏡面像であるが、どちらも同じ本体に起因している。
実際の熱は、さらに複雑であるが、援護的な側面もある。
中心の頂に最大の質量体があるとし、そこから、電磁波エネルギー、光と熱が飛ばされる。
遠くにある質量体ほど、発射角の浅い線しか受け取れないため、受けるエネルギーは減る。中心ほど高く、辺縁ほど低くなる傾向は、先の高温となる確率に似て、実際の富士へ例えやすい。
電磁波が、空間の量子の渦へどう影響するかは思いつかない。
力学的エネルギーについては、同様の傾向を取るか分からない。確率的には、中心へ向かうほど、巨大な力学的現象が起こるように思われるが、太陽系での地球と木星はそうなっていない。
全てはアプリオリの海から生まれ、アプリオリの海へ還る。
消えた過去に涙をあげよう。
意識に拾われて一瞬を繰り返す宇宙は思い出になる。
時を止め形を持った生命で満たされている。
私たちは、
時間とともに、熱とともに、重力とともに、
質量として、配列として、生命として、
次の朝を迎える。
Hello, gravity.
まっとめー!
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます!
たとえ、「今」しかないからといって、今だけを大事にする必要はないと思う。人間は、意識様相における過去と未来を大事にすることで、よりよく変わっていけるはずだから。もしくは、保存していけるはずだから。
参考文献
すごい物理学講義/カルロ・ロヴェッリ,著 竹内薫,監訳 栗原俊英,訳/河出出版
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