異世界クロスロード 勇者と呼ばれた者
アナザー
第1話 勇者
俺は風間裕輝(かざま ひろき
今年、大学に合格して1人上京して来た。
運動は得意な方だった。
部活はサッカー部に所属
コレでもエースストライカーだぜ?
去年の高校最後の夏、全国大会まで後一歩だったが、試合に向かうバスが事故を起こして、試合に間に合わずに終わっちまった。
事故の際、頸椎を少し痛めたらしく。
普通の生活は出来るがプロの道は途絶えちまった。
莫大な手術代と、長いリハビリをしても元に戻るかは解らないらしい。
そんな金はウチにはない。
てなわけで、
手術代を大学費用に当てて今に至るって所だな。
幸い、勉強も嫌いじゃない。
小さい頃からの夢が途絶えてちょっと寂しいが
まあ、生きる為に足掻いてやる。
そんな風に割り切っていたんだがな。
・裕貴、聞こえるか?
突然声が聴こえて来たわけだ。
・頼む、この世界を救ってくれ。
全く、こんな話信じられるか?
本当にいきなりだったんだ。
・出来る限りの要望を聞こう。
だから、世界を救ってくれ。
姿が見えないが声は聞こえる。
馬鹿馬鹿しいが夢とも思えない。
世界を救うなんてガラじゃないんだけどな。
まあ、良い。
夢を見れなくなった世界より、
夢を見られる世界の方が、俺は好きだ。
・ならば要望を言おう。
俺と言う存在を残したまま、
俺を違う世界に飛ばしてくれ。
両親には恩返しがしたい。
だから俺と言う存在を消したくない。
必ず幸せにしてやってほしい。
・お主自身への要望は無いのか?
両親の幸せだけを願うのか?
・ああ、俺の事はどうでも良い。
両親だけが気掛かりだ。
両親と、ここに残る俺の分身。
この3人の幸せを所望する。
・分かった。
神の名の下に3名の幸せを約束しよう。
世界を救う契約してくれるか?
神とは大きく出たな。
こんな事出来るんだから、あながち間違いと言う訳でも無いか。
・良いだろう。
契約する。
その瞬間、光に包まれた。
、、、謎の場所にて
・おぉ、遂に願いが届いた。
声が聞こえた。
周りがざわついている。
状況が判らん。
王様らしき人物、オッサン5人、姉ちゃん5人
下には魔法陣、、か?
・皆、静まれ。
神子アリアナ頼む
王様らしき人物が何だか言ってるな。
て事は近づいて来るのがアリアナって子か。
・あの、勇者様ですか?
・ん?勇者?
違うぞ、俺の名は風間裕輝だ。
世界を救ってくれとか言われて来たが、
自分でもよく判らん。
・裕輝様。
お話を聞いて頂けますか?
・こちらからも頼む。
状況が知りたい。
・世界では、
人族、獣人、精霊、魔人
大きく分けて四つに分かれています。
大陸ごとにそれぞれ暮らしているのですが。
近年魔人族の者たちが勢力を拡大しています。
・ふむ、続けて
・はい、
魔人族は魔神を召喚して、
世界を手に入れようとしているらしく。
既に精霊族が戦いに敗れ大陸を奪われました。
獣人族は中立の筈でしたが、最近大規模な獣人族による進撃がありました。
恐らく魔人族と手を組んだのでは無いかと推測されています。
・圧倒的に不利な状況だな。
・はい、
そこで、私達は神に祈りを捧げて続けて、
貴方様を、裕輝様を呼び寄せたのです。
・成る程な、
状況ほ把握した。
俺は人々を護りつつ、魔神とやらを討つ
それで合ってるか?
・その通りだ。
王様らしき人物がしゃしゃり出て来た。
俺はこの可愛子ちゃんと話していたいのだが。
・勇者裕輝よ、
どうか我々を救ってほしい。
さて、どうするかな。
神との契約、、、契約か、
両親の幸せの為には魔神を倒して世界を救う必要があるって事か。
なら選択肢は無いな。
・良いだろう。
俺にどこまで出来るか解らないが、
やるだけやってやる。
・この世界で生きていく決意を確認
神の加護発動
称号 勇者 を入手。
以後ステータスに勇者特性が反映されます。
うお、突然アナウンスが。
周りの奴らは驚いてないな。
俺だけに聞こえるのか?
ステータス?どう言う事だ?
・ステータスって、どう言う・・
レベル1 所持金無し
筋力 103
知力 152
俊敏性 141
魔法
光魔法
特性
勇者 全ての能力大幅アップ
何だ?
目の前に映るこの数値。
・とりあえず勇者よ、こちらへ
俺は混乱しつつ王様らしき人物について行く
暫く歩くと階段があり、登るとデカい廊下に来た、更に歩いて行く。
地下にあったのか、あの魔法陣
そしてデカい扉の通り抜けると広い部屋に出た
あれだな、謁見の間ってやつ、、、多分。
・改めて紹介しよう。
オルドラ王国 国王
アサラード・ナリシ・オルドラだ。
・風間裕輝だ。
こっちに来たばかりで礼儀も礼節も何も解らない。その辺を許して貰えると助かる。
・考慮しよう。
無理もない、此方に来たばかりだからな。
無理を言ってすまない。
思ったより話の通じる王様だな。
これなら協力しても良いかも知れん。
・では、俺は何から始めれば良い?
・うむ、オーランド此方へ。
・はっ!
これまたダンディーなじい様がやって来たな。
空気がビリビリする。
汗が噴き出る。
凄い威圧感だ、間違いなく強いだろうな。
・我が剣気の中で立って居られるのだな。
すまなかった、少し試させてもらった。
オルドラ王国騎士団総統のオーランドだ
・風間裕輝だ。
今のが剣気ってやつなんだな。
正直ビビったよ、逃げ出したい位だった。
・ふふ、頼もしいな、風間裕輝殿。
今後の事だが、まずはレベルを上げて頂き、
このワシを倒せる位に強くなって欲しい。
情けない話だが魔神は勿論の事、魔人供の幹部と戦ってもワシが負けるだろう。
まずはワシを超えてみせろ。
・難しいな、、
自分の弱さを認める、そんな強さを持つあんたを易々と超えられる気がしねえよ。
だが、やる前から出来ないとは言わない。
あんたの壁、超えて見せようじゃないか。
・弱さを認める強さか、、
こんな言葉がある。
己を知る事を知らぬ者は強くはなれぬ。
我が師の言葉だ。
似た言葉を裕輝殿から聞く事になると思わなかった。
嬉しく思うぞ。
へぇ、この世界も面白そうだな。
戸惑っていたが、本気でやってみるとするか。
・では王よ。
私は裕輝殿を連れて行く。
・うむ、オーランド、頼んだぞ。
・はっ!
では裕輝殿、ついて参れ
俺はオーランドに付いて行った。
・裕輝殿、
これからライルと言う騎士団の団長の元に行く。
そこからダンジョンのある街に向かい、
そこでレベルを上げてもらいたい。
・わかった。
ダンジョンとかあるんだな。
ちょい楽しみになって来た。
そのやり取りの後は静かだった。
静かだったが、オーランドの剣気が蠢いていて、時々俺の方にゆっくりと向かって来る。
当たるとまずい、、、
そんな気がしたので躱しながら付いて行った。
・ここだ。
この部屋の中にライルはいる。
良いか裕輝殿。
敵を倒すだけがレベルを上げる術ではない。
どんな事でも良い、経験を積むのだ。
それがレベルを上げる近道となる。
お主ならば出来る。
先程やっていた様にな。
ニヤッと笑ってオーランドは戻って行った。
去り際に叩かれた肩が地味に痛い。
敵を倒すだけが術ではない、、、?
先程やっていた?
まさか
・ステータス
レベル4 所持金無し
筋力 183
知力 184
俊敏性 195
魔法
光魔法
特性
勇者 全ての能力大幅アップ
成る程ね、あの剣気は俺のレベル上げをしていてくれたのか。
食えないじぃさんだ。
だが、ありがとよ。
俺はオーランドに感謝して部屋に入って行った。
・ここにライル団長が居ると聞いて来たのだが、
・貴方が勇者様ですか?
・裕輝だ、貴方がライル団長かい?
・はい、その通りです。
準備は既に完了しています。
出来れば直ぐにでも出発したいのですが。
よろしいでしょうか?
この世界に来て目紛しく進んでるな。
準備が周到なのはそれだけ切羽詰まっているって事か?
勇者が来たらすぐに動けるように、、
中々優秀な人材が居る国だな。
王の器って奴かな?
本当はゆっくり城下町とか観たかったんだけどな
・ああ、俺はいつでも良い。
ライル団長に任せるよ。
・ありがとうございます、勇者裕輝殿
・あー、裕輝で良いよ。
お互いに命を預けるんだ
その方が信頼できるだろ?ライル
そう言うとライル団長は驚きの顔をした後、
ニヤリと笑う
・そう言って貰えるとありがたい。
命を預ける相手かどうかはまだ解らぬが、
これから宜しく頼む、、、裕輝
そう言って握手をした。
、、、オルドラ城下町にて
俺は今、大きな門の前に居る。
確か、白亜門って言ったかな?
凄い建築技術だ。
・裕輝、こっちだ。
今回は俺とカール、
後は特殊医療部隊のリーシュ隊長が同行する
・カールです。
所属は王国騎士団第一部隊
自分は主に後方支援、スカウトです。
宜しくお願いします。
・リーシュです。
所属は特殊医療部隊
主に回復を担当致します。
宜しくお願いします
おお、リーシュって子めちゃくちゃ可愛いな。
おっと挨拶はしっかりしなきゃな。
・風間裕輝だ。
まだこちらに来てばかりで解らないことだらけだから最初は迷惑をかけるかも知れない。
すまないが宜しく頼む。
平常心だ、平常心。
よし、多分普通に喋れた筈だ。
しかし、流石は異世界
ビックリする程可愛いぞ、リーシュ
・では出発する。
馬車に乗り込んでくれ。
そうだ、裕輝。
オーランド総統からだ。
そう言ってひと振りの剣を受け取った。
重い、だが妙に馴染む。
・ほぅ、既に剣に魅入られたか。
その剣は魔剣だ。
封印されていた物だが、オーランド総統はお前なら使えると言ってな。
反対したのだが、、、流石は総統の見立てだ。
ちょっとオーランドじいさん、いきなりなんて物騒な物渡して来るんだよ。
剣に見限られてたらどうなってたか恐ろしいよ。
まったく、あのジジイ。
強くなったら文句の一つでも言ってやるか。
馬車はゴトゴト進んでいく。
綺麗な景色だな。
何となく流れる景色を眺めていると
少し遠くの丘の上に誰かがいた。
・糸草群生地 イン ザ 俺 リターン!
ブッ、何言ってんだあいつ?
妙にテンション高いな、
まあ、良いことでもあったのだろう。
・ライル、あそこに変な奴がいるぜ。
・冒険者だろうな、あの辺は糸草の群生地だ。
多分依頼を受けて採取している低レベルの冒険者だろう。
俺もまだ低レベルなんだけどな。
ライルが言うには俺のステータスは異常過ぎるらしい、その数値なら中堅の冒険者よりも強いだろうって言ってたから、まあ俺の方が強いだろう。
・あっ、ライオットさんだ。
ライオットさーん、
んー聞こえないかな?
あれ?リーシュ?
さっきまではずっと凛々しい顔してたのに、
今は凄い砕けてますよ?
馬車の上にまで登り始めたし。
・くそっ、あの噂は本当だったのか。
・あの噂?
ライル、噂って?
・ああ、
良いか?、、、本人には絶対に言うなよ。
少し前にな、オークの群れが攻めて来たんだ。
その時にリーシュ隊長がある冒険者を連れて行った。そしてその冒険者と一緒に凄い戦果を残したらしい。
噂ではリーシュ隊長はその冒険者に惚れてるんじゃないかと言われているんだ。
・なんだと?マジでか。
くっそ、この世界に来るのが遅かった。
神さま頼むよ、タイミングが悪いぞ。
・ライオットさーん
あ、こっち向いた。
気付いてー、ライオットさーん!
きゃー手を振ってくれたぁー
・冒険者ライオット、いつか殺す ×2
裕輝とライルの気持ちが一つになった瞬間だった
・失礼しました。
ちょっと顔を赤くしたリーシュが戻って来た。
俺にもあんな風に接していいんだよ?
くそ、ライオットって言ったか、
マジいつか殺す
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