*冬*澄んだ空気と静かに降る雪の頃

◇第52話◇ダンスはいつも上手く踊れない 泣きべそステップ踏みながら

 仕事メール返信やっと。

 これで少し一息 といいたい所だけど、そうそうノンビリともしてられない。

 クライアントさんの意思を汲み取って提示して見せる。

 今回は特に、これが一番近道。

 やるべきことは頭の中にあるけど、やる気になれずにまだ手をつけていない。

 この週末までに、しかしある程度のものを見せなくては。

 スイッチ切ってる場合じゃない。


 子どものことも、かなり色々あって難しいあれこれ。キモチ。

 甘えたいんだろう。もっとかまって欲しいんだろう。

 それが時として思うようにならないと、すぐに反抗とかグズリとかの形をとる。


 キモチ、わかってるつもりで わたしも何とかと必死で精一杯してるつもりでもこちらの身体は1つ。

 相手は三人。泣きだしたい気持ちになるのはこういう時だ。

 甘えたい盛りで当然なのに。受け止めきってやれてない。


 わたしたち親子が生きてきたこの数年間。

 この子は変に大人びて神経質なくらいに気を遣う。

 この子は無邪気だけど硝子のココロ。生き方が下手。

 この子はアマノジャク。ワガママ。甘えんぼう寂しがりの裏返し。


 一番大切な時期、一番甘えたい時期に、子どもの身にはあまりにも沢山の酷いことがありすぎた。

 父親を亡くすということだけでなく、それに関わる醜い出来事を、その目の前で見せつけられた。


 それだけでもわたしはアノヒトタチを生涯絶対に許さない。

 アノ出来事を子どもの前で話すことなど無いが。

 何故、アノ時にアノ場所で子どもの目の前でだったのかと。

 他の全て100歩譲っても、その最低限の配慮すらできなかったのかと。

 言っても詮無いこと。理解できる相手ではないんだからもう忘れろ。

 親からも言われた。自分自身にも言い聞かせている。

 でも治ることの無い切り裂かれた傷はズキズキと忘れたはずの頃にまた痛む。



    ◇◇◇


 「冷たい頬」


ふぅ・・と吐く息が白い

曇り空 天気予報では「雪が降るでしょう」

スーパーから買い物袋下げて出れば

景色は闇に溶けかけてる


沈んだ哀しみは沈ませたまま

そうでないと心の重さで

動けなくなるから


前を向いて歩く

歩くことだけを考える

そういう 痛みの忘れ方があってもいい


階段を踏みしめる

かじかんだ手にくい込む荷物


よいしょ って掛け声小さくかけて

思わず小さく笑った



負けるな


負けるな


負けるな


わたし



降り出した雪が

冷たい頬にひとひら



まだ 泣いちゃいけない


     ◇◇◇


 あの日々に

 張り詰めた日々に


 それでも何にだろう闘いを挑んでいた。

 それが

 敵うはずなどない運命にでも

 ぐっちゃぐちゃのズタボロの自分でも挑まずにはいられなかった。


 そうして、此処まで、きて。

 でも、まだ、此処まで。

 これからの方が遥かに長い道のり。

 淡々と続く、長い長い道のり。



 ダンスはずっと上手く踊れない。

 横を優雅に踊りながらすり抜けていくペアを羨んで見ながら。

 踏んづけようにもドレスの裾はとうに破れてボロボロなので、かろうじて転ばすに、それが唯一の救い。


 独り、泣きべそステップ踏み続ける。


 それでも

 踊り続ける。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 *この頃のこと*


ものすごく更新間隔があいてしまいましたが……。m(_ _)m

久しぶりにまた、昔の日記を読み返して……。


      ◇


まだ息子たちは小さく、毎日がいっぱいいっぱいで、嵐の海を犬かきして泳ぐように生きていましたっけ。


パソコンを使っての内職、細々ですが、これは有難かった。

独学で勉強しながら、ただただ必死で。


結構、負けん気強かったりするのかも……ですね。

ヘタレのわりには、わたしよ、良くやってたかも……なんて、密かに自分の頭をナデナデしてみたり?(笑)

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