第51話プレゼント1/2

プレゼント1/2 

プレゼント1/2 


純にプロポーズして、2人の関係は一層深くなったと思う。

でも純が不安がっているから、それ以上に俺の想いを形に表したい、だからホワイトデーのお返しに指輪を贈ろうと思った。

でも指輪っていくらくらいするんだろう

ネットで検索すると、2つお揃いのを買おうと思うと、結構高くて、今までお年玉貯金で買えない事はないけど、全財産の残高が危うくなる・・・・・それに見れば見るほど・・それ以上の良い物が目に留まるし……。

ほとんどが結婚指輪や婚約指輪で高い。

本当の婚約指輪ではないけど、それなりにちゃんとしなきゃと思って、いろいろ検索してみるとハワイアンジュエリーだと、予算内で買える金額でそれなりのデザインの指輪がある。

何個かめぼしいのをお気に入りに登録したけど……純のサイズがわからない。

次の日、学校で武村の所に行って、純の妹の電話番号を教えてほしいと言ったら

一言「ダメだ」、

「なんで?」

「お前だから」

「何だよ、教えてよ」

「純に聞けばいいだろ」

「純に聞けないから武村にお願いしてるんだよ」

「恵の電話番号をどうして純に聞けないんだ?おかしいだろ、そんなのダメだ」

しょうがないから、事情を説明すると

「じゃあ、俺が恵に聞いてやる」

「頼みます」

「おお」

結局、その日は武村から何も言ってこなくて、次の日、久しぶりにクラスの入り口に来て

「おい、高谷、ちょっと 」

武村は、それこそ、前に付き合ってた危ない連中とは、一切付き合ってはいないが、恰好は相変わらずで、今でも時々髪型が変わっては、生活指導の先生に呼ばれている。

ちゃんと一緒に予備校に行って、俺と同じように、定期試験では 受験科目に特化しているけれど、でもそれが総合成績を以前より落としているので、かえって先生達からは良い目では見られていない。

その武村がいつものように俺を呼ぶ、夏休み以降は3人で予備校に行くのが、当たり前なのであまり教室に呼びにはこないけれど、時々来ると、皆一瞬かたまってしまう。

変わったのは、武村が教室の入り口で俺を呼ぶと純が「いっちゃん」と呼んで手を振るくらい。

俺は、急いで武村の所に行き、2人でいつものように、食堂の前の自販機のところ、

「恵に聞いたけど、知らなかった」

「そっか」

「恵が、純にそれとなく聞いたけど、逆に純に理由を聞かれた。もうすぐばれるぞ、素直に純に聞け」

「・・・一応、ホワイトデーにちょっとサプライスしようと思ったんだけど、そんなに高いの買えないから・・・純に知られないうちに予算内の指輪、買っておきたいんだよ」

「金、貸してやろうか?」

「いいよ、こういうのは自分のお金で買わなきゃ」

「ま、そうだな」

「どうしようか」

「1人で考えろ」

「冷たいな~」

「どんな指輪買ったか、後で教えろよ」

「えっ、どうして?」

「いいから」

「えーーーー」

「うっせ」

そう言って、1人戻って行った。

1人とぼとぼ教室に戻ろうと歩いていると、スマホが震えたので、見て見ると純から

RINEがはいっていた、「いっちゃんと何話したの?」

「なんでもないよ」そういうしかなくて、でも、これがまずかった。

予備校の帰り、ずーっと 何を話していたか問い詰められ、それを見て武村は走って逃げるし、同じ電車のはずなのに、全然見つからなくて、ずーっと俺が純に責められて、最後の方は半泣きで「私に言えないような事してるんだ」って。

どうしようもなくなって、しょうがないから、スマホの画面を見せて、そのサイトのお気に入りを開いて、「純に、婚約の前だけど、『婚約の約束』の指輪を買おうと思って、純のサイズを聞いてたんだよ」

「えっ?」純が一瞬かたまって、それから思いっきり抱き着いてきた。

身長があまり変わらないナイスなボディの純が抱き着いてきたから、思いっきり後ろに倒れてしまって、アスファルトの上に寝転んで、その上に純が覆いかぶさるような恰好。

それなのに、純は泣きしながら、「かっちゃん かっちゃん」ってわめく。

どいてくれないし、もう結構な夜だから、静まった住宅街に声が響いて、思いっきりやばかった。

純がようやく落ち着いて、どいてくれたので、こんな時間だけど、純の部屋に行って、ちゃんと説明した。

本当はちゃんとした指輪を買いたいけど、お年玉貯金だと2つ買えるのはこれくらいになってしまう。

ハワイアンジュエリーのスターリングシルバーしか買えない、プラチナとか白金じゃないから・・・こっそり買ってしまえば・・と思って、恵ちゃんなら知ってるかなって思って武村に聞いてもらった。って

「そっか だから昨日恵が聞いてきたんだ」今まで泣いていた純がにこにこ顔で話してくるんだけど、俺にべったりくっついて身動きがとれない。

「ごめんね」

「もう、だったら言ってよ、もう」すっごくうれしそうに言ってるのが伝わってくる。

「どんなのがあるの?」そう言ってスマホの画面をのぞいて

「う~ん、これかな~、ねえ、他には?」 もう完全に買い物気分。

お気に入り登録以外の 全部の商品画面を見せると

「あーーっ 私、これが良いーー」これで決まった。

「あのね、金額なんてどうでもいいの、かっちゃんがそういう目的で買ってくれるんだから」

確かに、純ならそう言うとは思っていたけど、こうはっきり言われると・・・ほんとイイ女、どんどん好きになっていく。



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