ツンとデレを一度味わう
ガントレット
通学
「ちょっと!いつも車道側を歩かないでよ!道が狭いでしょ!」
いつもの通学時間。俺の横の少女が何事かを言い出した。
眉を寄せてちょっとしかめ面なのが非常に可愛らしい。
それはそれとして、いつの間にか彼女に迷惑を掛けてしまっていたらしい。
ならば俺ができる謝罪はただ一つ。
「死なねば」
「物騒なこと言いながらなんで走る車を見てんのよ! こら! こっちを向きなさい!」
彼女はそう言いながらガシッと腕をつかんできた。
中々必死な形相である。キュートか?
「ああ、目の前ではじけ飛ぶのは流石に不味いか……近くに踏切があったな……
すまん、先に行っててくれ。後でちゃんと逝く」
「一緒に学校に行くの! ああ、もう別に迷惑とかじゃないから、その…」
目をそらしつつ彼女は述べる。
「いつも私を車から守るようにしてくれて、その、嬉しいわ、けど別にそんなの気にしなくていいんだからね!」
もう、彼女の顔は真っ赤に染まっている。世界一可愛い林檎か? 守らねば車からもぎ取られてしまう!」
「り、りんご?また変なこと言って! もうバカ!」
途中から声が出ていたようだ。失態。
だが何故か調子は戻ってきたようだ 。
「もう、まあいいか……あ、こんな時間、行こ! ほら、早く」
そう言って彼女は走り出す。つられて俺も走り出す。
なぜなら腕がずっと掴まれてるからだ。
「うおっ…腕が」
「こうしなきゃ変なことしそうだから、それだけだから!」
結局、彼女は学校まで手を放してくれなかった。
やったぜ
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