第12話 俺は人殺し
「幸人ってさ、俺より僕の方が似合ってるよ」
「そうか」
「だからこれからは僕にしてね」
「無理」
放課後のことがあってから三ヶ月が経ち二人とも仲直りして放課後や朝一緒に登校するようになった。
「俺今日行かないといけないところあるからバイバイ」
そう言って手を振るが冥はあまり浮かない顔をしていた。
「う、うん。ばいばい」
まぁいいか。そう思い後ろを向いてある場所に向かおうとした瞬間後ろから服を引っ張られた。冥だった。
「まって」
冥は鞄を漁り始める。そして何かをとり
「はい。今日バレンタインだから。美味しくないかもだけど」
俺は驚いたが、すごく嬉しかった。初めてチョコを貰えたからだ。
「ありがとう」
チョコ受け取り鞄にしまおうとすると、
「今食べて!!私味見してないからまずいかもしれないし」
「わかったわかった」
袋を外しチョコが二個とクッキーが三個入っていた。チョコを口に放り込みむと、冥は心配そうに俺を見ていた。
「うん。美味しいよ」
「本当!!!嬉しい」
「お前も食べろよ」
食べてないならこの美味しさもわからないだろう。大丈夫と言う冥を無視して口に突っ込んだ。
「初めてのあーんが強引すぎる!!夢が壊れた!」
他のは後から食べようと袋を閉じて鞄に入れる。
「本当にありがとう。バイバイ」
「ばいばいー。ホワイトデー期待しとくから!!」
後ろを向き俺が向かうのは病院だ。俺がなんか怪我をしているわけではない。恵が俺の入室を認めてくれたからだ。恵は俺に会いたくないと目を覚ましてからも俺を病室に入れさせてくれなかった。そして今日ようやく入室してもいいと言われ花を買いむかっている。
病院に着き恵の病室の前にいた。少し怖かった。俺が原因で殺してしまったのも同然だからだ。彼は恨んでいるだろう。大火傷を負わせて動かなくさせた俺に。
コンコン
「久しぶり、恵」
恵は外を見ていた。そして振り向いてた。
みると彼の顔は火傷で酷く荒れていた。体中に包帯が巻いてあった。
「どうした?びっくりしたか?お前がやったんだぞ!なんだ他人事みたいな顔しやがって!!」
俺は黙って土下座をし謝り続けた。
「お前が幼稚園に通わなかったら今頃俺はみんなと同じように学校に通えた。顔もこれじゃ好きになってくれるやつがいねーよ。道も歩けない顔にもなった。全てお前のせいでな。それなのにお前はサングラスして目を隠しやがって。サングラス外せよ」
そう言われ俺はサングラスを外した。
「顔をあげろよ。俺はお前の顔を覗く事もできない体なんだぞ」
顔を上げると彼はカメラを持っていた。
「あはははははははははは!!笑いが止まらねーよ。お前の絶望した顔。これは今生放送してるからカメラを壊しても全世界で配信されちゃってんだよ。」
「悪魔の再来って感じだな」
もう帰れよ。
そう言われて病室を出された。
終わった。これでまた人生が狂う。人がまた死ぬ。俺の身近な人が死んでしまう。死なない俺とは違ってみんなは死んでしまう。
冥は大丈夫か?
走って寮に向かう。すでに寮の前には沢山のメディア陣がいた。カメラは一瞬で俺の方向に向き、走ってくる。逃げないといけないのに動かない。カメラが怖い。
もう頼むから幸せを俺にくれよ
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