第613話 王都防衛戦

僕トラオ、今は【魔導王国】の王都を襲ってる亜人系の魔物の大群を皆で狩っているとこ。


タタタタタン


「ぎゃー、全然効かーん!」

イリーナ辺境伯が撃つ重機関銃、ブローニングM1917もどきから発射された7.62mm機銃弾はぷすぷすと音をたててトロルの巨体にめり込んではいるけど、あまりダメージを与えてないようだ。


鈍いのか痛みを感じないのか、汚い土色の肌をした巨人トロルは機関銃の火線を意に介せずに、のしのしと土嚢で造った機銃座に近づいていく。


「ベルトーチカ、助けるのでつ!」

エリーナが龍人娘ベルトーチカに助けを求める。


「ベルトーチカなら向こうの方でオーガを狩っております」

鳥獣人ハーピィのピーちゃんが、翼状になった右手で明後日の方向を指差す。


あー、機銃座に近づく大型の魔物を排除する為にベルトーチカを残したのに…

いや、オーガと戦ってるんだから役目は果たしてるのか?


ずしん ずしん

巨大な棍棒を手にしたトロルがイリーナ達がいる機銃座に近づく。


「脱出!」

ばさばさっ

ピーちゃんは空中に逃げた。


「薄情者~!」

「見捨てられたのでつ!」

イリーナとエリーナの親娘が空を飛んでるピーちゃんを恨めしげに睨む。

でも、ピーちゃんは戦闘能力がまるで無いから仕方ないよね。


「よそ見をしてる場合じゃないです!」

ぴょこっと土嚢の陰からドワーフ幼女のピコが顔を出した、小脇に対戦車無反動砲パンツァーファウストを構えている。


シュバッ


パイプ状の発射筒から後方に噴煙を吹き出して成形炸薬HEAT弾が飛び出す。


ドンッ


山なりに飛んだ砲弾はトロルの右足に命中した。


ずずん


さすがに頑強なトロルも対戦車用の成形炸薬弾で右足の膝から下を吹き飛ばされ、地響きとともに倒れ込む。


「やったのじゃー!」

「やったのでつ!」

抱きあって喜ぶエルフの親娘…


「まだです!」

ピコはまだトロルから目を離さない。

うーん、商人の娘なのにピコは肝が据わってるなぁ…


『ごああっ』

喪ったトロルの右足が徐々に再生されていく。

トロルは自己回復のスキルを持っている魔物だ、時間はかかるが手足を失っても再生する事が出来る。


「なっ、さ、再生しておる!」

「とどめを刺すのでつ!」

ビビるイリーナとパンツァーファウストを手にするエリーナ。


「凄い威力だな、ピコ、わしにもそれを撃たせてくれ」

「父ちゃん、撃つ時は後ろにドワーフが居ないか気を付けて」

ピコが頑固親父に無反動砲パンツァーファウストを一基手渡す、ってか親父、お前も機銃座におったんかい!


エリーナとピコ親娘が対戦車無反動砲パンツァーファウストでトロルを凹ぼこにし始めたので、他の大物を探しに九五式軽戦車を発車させた。


~・~・~


「がるるる…」

ざしゅっ


あたしは獅子人族の族長の娘レオナ。

夫のトラオは獣人国の国王、つまりあたしは第一王妃だ、まだ未成年だから婚約だけで正式には入籍してないけど。


ざしゅっ


あたしは今、燃料切れを起こした軽戦車を守って戦っている。

トラオは戦車は一旦放棄するって言ったけど、夫の大事な宝物玩具だ、妻のあたしが守らなきゃ!


ざしゅっ


しかし、義父ヤスアキ殿が『スコップは最強の白兵戦用の武器だ』って言ってたけど、ティンカー商会で貰って来たこのスコップも良い切れ味してる…コイツの一振りでゴブリンごとき仕留められる。


ごい~ん


幼なじみで頼りになる相棒でもある第二王妃のベーアも、ティンカー商会で貰った鍋を兜替わりに頭に被ってフライパンでゴブリンを撲殺している。



キイイイイイイー


あたし達の頭上をトラオ義妹トラコ鉄人アイアンアーマーがフライパスした。


ズドドドドド


二人が飛んで行った方向から連続した爆発音が響く、ゴブリンキングだかなんだか知らないけど、獣人国最強のあたしの夫が滞在してる街を襲うなんてバカなヤツだ…まあ、今ごろ消し炭になってるだろうけどw


それにしても、義父ヤスアキ殿に頼んだらあたしにも専用の鉄人アイアンアーマーを造ってくれないかな?

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