アランの覚悟

黒い煙に包まれてから二秒程が経った瞬間、黒い煙の中からボロボロになったアランとアランの剣が吹っ飛ばされてくる。


隊員達の近くにアランが飛ばされ、後ろにあった木の根元にアランの剣が刺さり、アランが立ち上がりながら言う。


「お前ら‥早く逃げろ‥あいつには敵わない」


アランが言い終えた頃に黒い煙から吸血鬼が姿を現し、服に付いた埃を手で叩いて落としながら言ってくる。


「少しは見くびっていたようだ。普通の吸血鬼なら倒せていたかもしれないな」


それを見た隊員達は暗い表情をして呟き出す。


「無傷だと…」


「そんな‥馬鹿な」


そんな隊員達の表情を見て吸血鬼は満足そうに微笑みだし、冷静な口調でアラン達に言う。


「せっかくだ、お前らに良いものを見せてやろう…フレイムソード」


そう吸血鬼が呪文を唱えると、吸血鬼の背後に炎で形成された剣が出現し、それを見た隊員が困惑しながら言う。


「フレイムソード?」


そう隊員の一人が言ったら、アランは剣の刺さっている木に歩いて向かいながら言う。


「フレイムソードはな、使えるのは人間でも極一部で、そのほとんどが勇者か剣聖だ。つまり、奴は勇者や剣聖と同等かそれ以上の力を持つことになる。俺じゃあ奴には到底敵いっこない」


「そんな、アラン隊長…」


そう隊員の一人が暗い表情で言ったら、アランは刺さっている剣を木の根元から抜いてから言う。


「だがな、足止め位は俺にだって出来る。俺が奴と戦っている間にお前らは近くにいるはずの第三隊に合流しろ」


そうアランが言ったら、吸血鬼は微笑んでアランを見下しながら言う。


「ほお‥少しは楽しませてくれよ、雑種」


隊員達はアランの指示に従い、近くにいるはずの第三隊へ走って向かい始め、その中の隊員の一人がアランに言う。


「アラン隊長、必ず助けに戻ります!」

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