対話

「お前は何のために小説を書いているのだ」


 生きるためです。


「生きるためか。しかし、お前は小説で収入を得ていないじゃないか」


 生きるとは、金を稼ぐ以上の事です。


「それは一体なんだね」


 分かりません。


「話にならないな。お前が小説を書かなくとも、何処かの誰かが書くだろうよ」


 しかし、私の小説は、私にしか書けません。

 何処かの誰かが書いた小説は、何処かの誰かの小説です。


「お前の小説である必要があるのか」


 分かりません。

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