神か仏かというような

 善人であっても

 やはり人間なので

 魔が差してしまうことがある


 金のためならわかりやすい

 己の保身もよくわかる

 ただ 魔の恐ろしいところは

 そういう損得を超越して

 自分のためにもならないのに

 相手に恨みも無いのに

「なんとなく」事件を起こしてしまうのだ


 信号待ちの歩道で

 なんとなく車道に飛び込みたくなったことはないか

 なんとなく前の人を突き飛ばしたくなったことはないか


 魔である

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