乱文集

石嶺 経

 いよいよ夏がやってきたようだ。

 外を歩いていたら汗が止まらない。だが、夏らしいことをしようとすると、今のご時世、かなり難しい。花火、海、祭り、どれも駄目だろう。そもそも開催するのだろうか。ちょっと特殊なかき氷を出す店に行きたいが、電車の距離なのでいまいちだ。かつて、こんなにつまらない夏があっただろうか。


 暑い暑い、何処にも行けない、行きたくない、というのは今思えば贅沢な話だった。何処にでも行けるからこそ、そんな言葉が出てくるのだ。

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