第278話シュワちゃんの配信者育成2

 気を取り直してゲームを最初から再開し、指示できる行動などの確認作業に戻る。

 そして一通りの確認が終わったのだが――私は絶句してしまっていた。


「ストゼロを飲むコマンドが無いだと――キュンちゃん、君は本当に人気配信者になるつもりがあるのか――?」


コメント

:マネちゃん!?

:草

:衝撃の言動しかしないなこのマネージャー

:このままだとキュンちゃんの方がキュンキュンし過ぎてキュン死してしまう

:もうやだこの子ほんと最高

:コマンドにはなくてもチャットで言えばやってくれるかもよ


「え、チャットってそんなことも出来るの!?」


 リスナーさんに教わった通りチャットを開き、今度はこちらからキュンちゃんに文章を送ろうとしてみると、ゲーム画面にこのような表記が出てきた。


【チャットを使ってキュンちゃんとコミュニケーションをとることが出来ます。長文やキーワードの多い文章はキュンちゃんを困らせてしまう可能性があるので、なるべくシンプルな文章にしてあげましょう】


「これはチャットのチュートリアル的なあれだよね? え、ということは自由に文章書いて送れるのこれ? それにキュンちゃんが反応してくれるってこと!? 教えてエロい人ー!」


コメント

:そう

:AIが組み込まれてるから色々返答してくれるよ

:すげー!

:むしろこのチャットがすごく大事で、この会話で配信ネタが増えたりする

:ちゃんと人間味あって、変なこと言ったり機嫌損ねたりすると強制終了になるし、一日の回数制限もあるから注意


「なるほど……AIが使われてるとはゲーム説明で見たけど、そんな自由なこと出来るんだね。ハイテクー」


コメント

:君もVだから十分ハイテクだと思うが……

:不思議なくらいシュワちゃんにテクノロジーって似合わない

:この子のVはSTRONGのVだから

:Vどこにあります?

:Nの左をポキッてやって残りをグイってやればあるやろがい!

:それは流石にSTRONG


「よっしゃ! そうと分かれば早速ストゼロ飲ませるどー!」


 チャットに文章を入力する。


チャット

<マネちゃん>:ストゼロを飲もう!

<キュン>:ストゼロってなにー?


「やばいこの子ストゼロを知らない、きっと悲しい過去があって遊園地に行ったことないタイプの子だ、泣けてきた」


コメント

:遊園地とストゼロが等価値な女の子の方が泣きそうです

:ストゼロ1カートンを年パスとか思ってそう

:教えてあげよう!


「ぐすっ! そうだね!」 


チャット

<マネちゃん>:人気者になりたい貴方に超朗報です! サ〇トリーから発売、家で簡単にシュワシュワになれるストゼロがやばすぎる!! 実は私、少し前まではブラック企業に徹底的に絞られる毎日で人生に絶望していたんですね……でもこれを飲んでからというもの配信が大バズして人生絶好調に! やがて夢見た大人気配信者になってからは同期からは求愛され、先輩からも注目の的になりあの憧れの人からライブに御呼ばれまで!? 更にやんちゃな後輩からに至っては愛され過ぎて最早命が危ない笑 ハーレム生活でもうからっからです笑 さぁこれを聴いている運のいい貴方! 次は貴方の番です! 今すぐご注文を! 近所のコンビニでもあっという間にお求めできます! さぁ、このストゼロで夢の配信者ライフを始めちゃいましょう! 社会人一年目だったこともあるSHUWATTYでした!

<キュン>:どういうことー? もっと分かりやすく!


コメント

:大草原 ¥10000

:このうざすぎる文体、懐かしい……閃光のように出てきては消えたあの人だ……

:大嫌いだけどいなくなってほしい訳じゃなかった

:どっからどう見ても詐欺広告なのに事実しか言ってないのすごいな

:事実なのは認めるけどそれができるのはお前だけや!

:確かに四期生は深く関わると身の危険ありそうだね笑

:脱毛の次は清楚を抜く脱清広告の時代か

:この広告はキュンちゃんにのみ配信されています!

:ターゲティング絞りすぎでは?

:広告で自分の名前呼ばれたら怖すぎるわ

:なっが

:AIに広告打つな


「むぅ、良さを伝えたかっただけなんだけど、逆にだめだったか……少し物足りないけど、まぁシンプルに返答するかー」


チャット

<マネちゃん>:お酒だよ

<キュン>:お酒! 


【キュンは飲酒配信を閃いた】


「おお! 本当に配信ネタが増えた! 教えてくれたリスナーさんありがとー!」


 よしよし、これで第一段階はクリアだな。

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