第244話五期生2-3

『これで一応今の質問には答えたけど、まだ全然時間あるな。他にも質問しーろ!』


コメント

:少し考えさせて……

:名前が分かってもまだ情報量少なすぎるんだよなぁ

:謎な子だ。今までのライブオンも謎だったけど、それらとは何かが違う

:内面が謎なら視覚から攻めるぞ! フードの中身見たい!

:あ、俺もそれ気になる! 顔見せて!


「これはナイスリスナーだぞ!」

「そうですね」

「え? どういうことかしら?」

「今まで顔を隠しながらも自らなにも言及しなかったということは、きっと誰かに触れて欲しかった部分なんですよ」

「あーなるほど! そういうことなのね!」


『ぇー……見せなきゃだめ?』


「「「(ズコー!!!)」」」


 反応悪いってことはそこも違うんかい!

 ダガーちゃん、君は一体なんなんだ……?


コメント

:よ、よろしければ見せていただけると……

:リスナー側が段々弱気になってて草

:でも見たいのは本当!

:見せて!

:隠してあるものは見たいのが人間だろ!


『ぅ……分かったよぉ……んじゃ見せるな、笑ったりすんなよ! よっと、はいフード取った、これでいい?』


「「「!?!?!?」」」


 な、なんだこれは!?

 渋々ながらも露わにしてくれたご尊顔。それを見て私たちは笑うどころか一瞬言葉を失った。

 柔らかそうにぷくっと膨らんだ頬から尊き幼さを感じる輪郭、パッチリとした大きな目元に吸い込まれそうなグレーの瞳、どこか微笑ましく思える大きな口元。そしてそれらを包む暗めの紫色をしたツーサイドアップの髪。

 かなり小さいと思われる身長も相まって、見ただけで抱きしめたくなる衝動に駆られる程のロリ美少女がそこには居た。

 おかしい……なんだこれは……かわいい、かわいすぎる!? ああ!? 今のちょっと不機嫌そうな顔とかたまらん! あぁ! ああぁ! あああああぁぁ!!


コメント

:やば!

:ロリ枠だったのか!

:かわいいいいいいいいい!!!!!!

:失礼かもしれんけど予想より遥かにかわいいのが出てきて心臓止まるかと思った

:今までの言動からこのかわいさの権化は想像できんて

:五期生になってビジュアル面により力入れてきたな


「は、鼻血が出るかと本気で思ったくらいかわいいわね……」

「な、なんだこれは? 想像と違うぞ! ネコマはもっとどうしようもない感じだと思ってたんだ! あざとい! これはあざといぞダガーちゃん!」

「なに言ってるんですか、あざとくて大いに結構! かわいいは世界を救うんですよ! あぁぁほっぺぷにぷにしたいぃ……」


 やはり顔がいいは正義なんよ。事実この見た目には困惑続きだったリスナーさん達も大喜び。

 ……だったのだが、コメント欄が盛り上がるにつれて、なぜかダガーちゃんはより不機嫌そうな様子になっていった。


『かわいいってゆーな! もう! だから運営さんにももっと包帯巻いたり眼帯着けたりとかしてかっこよくしようって言ったんだよ! いいか、俺はかっこよくないとだめなの! だからかわいいってゆーな! かっこいいって言え!』


 あらら、どうやらかわいい系は本人の目指している方向とは違ったようだ。だがこれは運営ナイスと言わざるを得ない。

 ぁ……またフードで顔隠しちゃった。


コメント

:その顔でかっこいいは無理があるでしょ

:どれだけかっこつけても素材が悪すぎ(良すぎ?)る

:そうだねぇ、かっこいいねぇ(ほっこり)

:世界一かっこいい! 全てはライバーの仰せのままに!

:さっきからたまに信仰心高すぎリスナーいるな

:かっこいいよ! だから顔見せて!


『ほんと? かっこいい? 分かってんじゃん! それならフード取ってやるかな、よいしょ! フヘヘ(にぱー)』


「ああ! 笑ったらお口がパカッて! 口の中の八重歯がはっきり見えるくらい大きくパカッて!」

「そのまま口裂け女になるギミックとかねーかな」

「2人のテンションの変動が見事に反比例しているわね……」


『……隠して……ばぁ! もっかい隠して……またばぁ! えへへ、なんか面白い(にぱー)』


「Åーーーーーーーーーーーー!!!!」

「な、なに今の音!? ヤカンでも沸いたかしら!?」

「シュワちゃんが限界化しただけだぞ」


コメント

:か、かわ、かわい、いやだめだ! 言ったらダメだ!

:笑顔が眩しすぎる

:守りたい、この笑顔

:笑顔全一

:ライブオンってこと一瞬忘れそうになったわ

:かっこわいい

:一気に流れ掴んだな


 謎な子から謎なかわいい子になっただけでここまで皆の心が持っていかれるとは……かわいさとはなんとも魔性である……。

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